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目次

魔法
魔法の概要
聖導と祈り : 呪文リスト
召喚魔法 : 呪文リスト
精神魔法 : 呪文リスト
  六つの系統特化について呪文の習得使い魔
毒・病気

病気

魔法の概要

1.リスト内の用語

 呪文リストにおける用語については、以下のような意味があります。

・集中:呪文を発動させる際に必要となる集中時間です。
・疲労:呪文を発動させるために必要な疲労です。
・射程:呪文が届く範囲です。原則として、術者の視線が通っていなければなりません。
・持続:呪文の持続時間です。
・範囲:呪文が効果を及ぼす範囲のことです。

2.戦闘中の魔法の発動

 戦闘中に魔法を使う場合には、まず、ラウンドの最初に明確にどの呪文を決めておく必要があります。
 PCは、何の呪文を詠唱するかを宣言しなければなりません。戦闘相手(NPC)を操るGMは、それが何の呪文かは分からないものとして、公平に行動を決定するようにしてください。
 一方、GMは何の呪文を詠唱するかまでは宣言しなくて構いません(だからといって、戦況に応じて都合よくコッソリ違う呪文に変更したりしないように!)。PCはそれが何の呪文なのかを推測して対応することになります。

 ただし、【精神魔法】スキルを持つ者は、他者がチャントを備えた詠唱を行なっている場合に限り、そのラウンドの最後に「それが何の呪文であるか」を知ることができます。
 当然ながら、もし詠唱が1ラウンドだった場合(詠唱を開始したラウンドの術者の手番で発動した場合)は呪文の正体を知ることはできません(=何の呪文であるかを察知するより先に、呪文が発動してしまいます)。

 呪文が発動するまでは術者は能動的な行動を取れず、呪文の詠唱に集中しなければなりません。受動的な行動(武器受け・楯受け・回避・抵抗など)は行なえますが、ロール値に−2のペナルティを受けます。移動は、1ラウンドに2mまでなら可能です。
 必要な集中時間を経たラウンドの自分の手番に、呪文発動による判定(呪文によっては抵抗されたかどうかの判定)を行います。「ラウンドの最初(呪文を唱える宣言をした瞬間)から自分の手番まで」を1ラウンド目と数えます(つまり、集中時間が1ラウンドの呪文は、詠唱を宣言したそのラウンドの自身の手番には発動することになります)。
 疲労を負うのは、呪文が発動した瞬間です。途中で呪文をキャンセルした場合や、何らかの影響で発動までに詠唱が途切れてしまった場合には、術者の疲労は一切ありません。

3.呪文の中断

呪文のキャンセル
 呪文の発動は、術者の意志でキャンセルが可能です。ただし、呪文が発動するラウンドの最初にはキャンセルを宣言していなければなりません。つまり、「このラウンドに呪文を発動する」と宣言してしまった場合は、もはやキャンセルできません。
 呪文のキャンセルを宣言したラウンドに、同時に「新たな呪文を発動させるための集中を始める」と宣言することが可能です。このとき、まったく別の呪文を唱えることにしても構いませんし、キャンセルした呪文と同じ呪文を唱えなおしても構いません。
呪文の妨害
 呪文を唱え始めてから呪文が発動するまでの間に、術者が転倒したり負傷ダメージを受けた場合、呪文の集中は途切れてしまいます(発動前なので、術者の疲労はありません)。

4.集中時間の短縮

 疲労を増加させることで、集中時間を短くすることができます。
 集中時間を1ラウンド減らすごとに、疲労は1点ずつ大きくなります。ただし、集中時間は1ラウンドより短くはなりません。

5.WPによる抵抗

 魔法をかけられた者は、望むならば抵抗を試みることができます。ロール値が同値ならば、術者有利として処理します(抵抗は失敗したものとしてください)。
 ダメージを受ける魔法をかけられたときは、抵抗に成功すればダメージが半分(端数切捨て)になります。また、一切のクリティカルが発生しません。

6.魔法の効果

ダメージ・回復量の算出
 魔法によって生み出されるダメージや回復量は、その呪文に固有のPSから算出します。
ダメージの軽減
 魔法のダメージに対しては、鎧の装甲は半分(端数切捨て)しか効果がありません。なお、鎧の装甲によるダメージ減少は、抵抗によるダメージ軽減の有無を判定した後に行なってください。
ダメージの増加
 術者は自分のロール値を任意でマイナスすることで、その分を与えるダメージに追加できます。例えば、自分のロール値を「−3」するのであれば、被術者が抵抗に失敗した際に与えるダメージに「+3」できるのです。この行動オプションを選択する場合には、判定ロールの出目が6ゾロだったとしても自動的成功は起こりません(単に「12」という数値として判定を行います)。また、被術者が抵抗に成功した場合には、ダメージの増加はできません。
 誰に対して呪文を唱え、ロール値をいくつマイナスするか(=ダメージを何点追加するか)は、ラウンドの最初に宣言しなければなりません。
持続時間
 持続時間のある呪文は、呪文が発動したラウンドを1ラウンド目と数えます。持続ラウンド数が経過すると、そのラウンドの終わりに呪文の効果が切れます。
呪文の重複
 同一の対象に対して、一部のものを除いて重複して呪文をかけることはできません。もし重複して同一の対象に対して呪文をかけようとすれば、基本的にはすでに施されている呪文の効果が維持されます。つまり、ある呪文の効果が別の呪文の効果と重複したり、あるいは後からかけた呪文によって打ち消されたりすることはありません。
 例外的なものとして、呪文の持続時間や効果に変化をもたらすための呪文や、呪文の効果を打ち消すための呪文などが挙げられます。しかし、この場合でも後からかける呪文の対象は「すでに呪文をかけられている対象」ではなく「すでに効果を現している呪文」であると解釈することができます。

7.チャントとモーション

 魔法を行使する際には、「チャント(詠唱)」と「モーション(動作)」が極めて重要です。
 チャントとは、術者の集中を助ける聖なる祈りや呪文を、実際に声に出して詠唱することを指します。チャントが欠けていれば、集中に必要な時間は2倍になってしまいます。モーションとは、魔法の完成度を高めるための身ぶりや手ぶりのことです。モーションが欠けていれば、ロール値に−2のペナルティを受けてしまいます。
 さらに、チャントやモーションが欠けた状態で魔法を行使すれば、自動的失敗の可能性が高まってしまいます。いずれか一方でも欠けていれば、判定ロールの出目が4以下で自動的失敗となります。もし両方が欠けていれば、判定ロールの出目が6以下で自動的失敗となり、しかも必要な疲労が2倍になります。
受動的な行動によるモーション欠落
 武器受けおよび楯受けを行なう場合には、術者はモーションが欠けている状態と同等のペナルティを受けます。

聖導と祈り

聖導リスト
神々と信仰(参考)

1.聖導

 神々の教えを深く信仰する者が、聖なる力を借り受ける術を学んで行使する魔法です。すべての神官が共通して修得していく「共通呪文」、特定の神を厚く信仰する神官だけが使える「独自呪文」とがあります。
 「共通呪文」には、呪文LVが設定されています。使い手の【聖導】スキルLVが、それぞれの呪文LVに到達した瞬間から、新たな呪文を自動的に習得できます。一方、「独自呪文」は、【聖導】スキルを1TPでも取っていれば、スキルLVに関係なく使用できます。

2.祈り

 「祈り」は、「呪文」と違って疲労を必要としません。また、【聖導】スキルがなくても【信仰】スキルを1TPでも取っていれば(つまり、神官でなくても信者でありさえすれば)、誰にでも使えるというメリットがあります。
 ただし、そのぶん効果は微々たるものです。また、同じ被術者に対しては24時間以内に同じ「祈り」を込めることができない、という制限があります。

召喚魔法

召喚魔法リスト
エレメンタルのデータ等(参考)

 エレメンタルの言葉を解し、エレメンタルを使役する術を学んだ者にだけ行使できる魔法です。
 召喚魔法の呪文には、呪文LVがありません。召喚魔法の使い手は、はじめからすべての呪文を習得していますが、召喚したエレメンタルが術者の手に負えなかった場合には非常に大きなリスクを負うことになるため、初級の召喚魔法の使い手は、常に恐る恐る呪文を行使することになるでしょう。
 レザーアーマー以外の鎧を身に付けていると、召喚魔法の呪文が一切行使できません。これは、エレメンタルが金属を嫌うためだと言われています。この特性を利用して、捕らえた召喚魔法の使い手を無力化する目的で、(金属制の鎧を着用させるなど)大量の金属を身に帯びさせるという手法が取られることもあります。

精神魔法

精神魔法リスト

 魔法文字(ルーン)を学び、その意味と使い方を知るものが、自らの精神力をその源として行使する魔法です。四元素系、物理系、精神系、知覚系、魔力付与系、邪悪系の六系統に分類されます。このうち、邪悪系の呪文をPCが好んで使うのは避けることを推奨します。
 レザーアーマー以外の鎧を身に付けていると、精神魔法の呪文が一切行使できません。これは、大量の金属が、ルーンの持つ力を解放する際の障害になるためです。この特性を利用して、捕えた精神魔法の使い手を無力化する目的で、(金属制の鎧を着用させるなど)大量の金属を身に帯びさせるという手法が取られることもあります。

1.六つの系統

(1)四元素系呪文

 四元素の力を司るルーンを操り、風土水火に関する魔力を導き出す。ルーンと術者の力で四元素の力を生み出すため、実際に四元素の力がその場に存在しているか否かは問わない。

(2)物理系呪文

 運動や存在を司るルーンを操り、物理法則を歪めたり思念の物質化をおこなう呪文。

(3)精神系呪文

 脳に働きかけるルーンを操り、精神や感情や知覚に変調をもたらす呪文。好んで使う者をイリュージョニスト(幻術師)、チャーマー(幻惑師)などと呼ぶこともある。
 幻覚は、幻覚であることを見切ったとしても、抵抗ロールに失敗している者にとっては消え去ることはない。

(4)知覚系呪文

 知覚を司るルーンを操り、情報伝達に関する超常的な現象を可能にする呪文。誤った情報を与える精神操作系呪文とは、一線を画している。

(5)魔力付与系呪文

 関係を司るルーンを操り、さまざまな魔法的な効果を付与する呪文。好んで使う者をエンチャンター(付与術師)と呼ぶこともある。

(6)邪悪系呪文

 邪悪な力を制御するルーンを操り、忌み嫌われるべき魔力を引き出す呪文。好んで使う者はネクロマンサー(死術師)、ソーサラー(妖術師)などと呼ばれる。

2.特化について

 特化の有無は、呪文の習得には関係がありません。特化の有無が影響を及ぼすのは、呪文の発動時の判定ロールのみです。
 例えば、精神魔法スキルLV9(特化:【四元素系】【物理系】)のキャラクターは、機会さえあれば全系統の呪文を9LVまで習得できるだけの力量があります。ただし、呪文が発動する際の判定ロールにおいては、四元素系呪文と物理系呪文は「2D6+9」、それ以外の系統の呪文は「2D6+7」で判定することになります。

3.呪文の習得

(1)呪文のスクロールについて

 精神魔法は総呪文数において、聖導や召喚魔法をはるかに凌駕しています。しかし、新たな呪文習得にはある程度の運を必要とし、スキルの向上と呪文習得量とが必ずしも比例していません。
 精神魔法の使い手は、スキルLVが7に到達した時点で、師から必要最低限の呪文(呪文LV7の呪文の中から、プレイヤーの任意で6つ)を学んでいます。しかし、さらに新しい呪文を学ぼうと思うならば、術者は自らの努力で未知の呪文を収集していかなければならないのです。

 精神魔法の使い手は、呪文を他の魔法使いに簡単に教えるような真似はしません。これは、自らが操る魔法の危険性を十分に理解しており、その呪文の使い手を無闇に拡大してしまわないためです。自らの知りえた呪文を広めることは、すなわち自身の存在意義の希薄化に繋がりますから、それを避ける意味もあるでしょう。
 精神魔法の使い手が呪文を習得するには、前提として精神魔法スキルLVが呪文LV以上でなければなりません。呪文は、通常はスクロール(巻物)の形で手に入ります。こうして新たに入手した呪文を覚えるには、呪文ひとつにつき連続6時間の余暇が必要です。

 不要なスクロールは、魔術師ギルドに提出しても構いません。「呪文LV×呪文LV×呪文LV」SPで買い取ってもらえます。あるいは、不要なスクロール2本を提出する代わりに、任意の呪文を教えてもらうことも可能です。その場合は、提出する2本のスクロールの呪文LVの平均(端数切捨て)と同じかそれ以下の呪文LVの中から、教わる呪文を選んでください。
魔術師ギルドによるスクロール管理
 スクロールの作成に対しては、魔術師ギルドが申請認可制度を設けており、許可なくスクロロールを作成することが禁じられています。そのため、スクロールの流通量そのものが極端に少なくなっています。作成の申請に対する許可は「教育目的:魔術師の合法的な育成に用いる場合」「公益目的:公の危険回避に特定の呪文が必要とされる場合」「その他:特段にギルドが合理的かつ有意と認めた場合」のいずれかに当てはまらなければなりません。
 また、スクロールの流通に関してもギルドは厳しく取り締まっており、魔術師ギルド以外からスクロールを合法的に購入することは事実上不可能です。人々の間にはスクロールの悪用を避けようとする意識が常に存在していますが、無法者たちの間ではスクロールの闇取引が行なわれることもあるようです。
 魔術師ギルドに加入している魔術師は、冒険中に入手したスクロールをギルドに届け出る義務を負っています。そのうえで、そのスクロールの所有権者として呪文習得を許可されます。しかし、このルールが厳密に遵守されることは多くなく、邪悪系呪文のスクロールが関わっていない限りは、ギルドでも魔術師による違反を厳しく追及することはありません。これは「スクロールが闇ルートに流れないこと」と「魔術師ギルドの組織率を高く保つこと」とを最優先にした、魔術師ギルドなりの「裁量」だと言われています。過剰な締め付けによって、魔術師ギルドとの関わりを断ちたいと考える魔術師が増えてしまったのでは、治安の維持にはマイナスだという判断です。

(2)入手できるスクロール

 GMに明確なシナリオ上の意図がない限り、シナリオ内で入手できるスクロールはランダムに決定することをおすすめします。その際には、以下の各表に従って決定すると良いでしょう。各表は、特に支障がない限りはプレイヤーに振らせてかまいません。
 シナリオによっては、スクロールが入手できること自体が不自然な場合もあるでしょう。その場合でも、GMは術者が極端に不利にならないように、十分に配慮するようにしてください(別のシナリオで余分に呪文を習得できるようにする、任意の呪文を習得できる機会を与える、など)。同様に、極端に有利になるようなことも避けなくてはなりません。
本数
 まず、以下の表に基づいて、当該セッションにおいて何本のスクロールが手に入る(入った)のかを決定します。D6で6が出続ける限り、何度でも加算してください。

D6本数
1本
2・32本
4・53本
もう一度D6を振って+1本
系統
 次に、入手する(した)スクロール1本ごとに、それぞれの呪文の系統を決定してください。

D6系統
四元素系
物理系
精神系
知覚系
魔力付与系
邪悪系
呪文LV
 続いて、それぞれのスクロールごとに呪文LVを決定します。D6の出目が1だった場合には、GMが適切に判断してランダムに呪文LVを決定するようにしてください。
 表にしたがって決定した呪文LVが6LV以下になった場合は、7LVのものとしてください。逆に、系統ごとの最高LVを超えた場合は、最大LVのものとしてください。

D6呪文LV
スキルLV−2以下
2・3スキルLV−1
4・5スキルLVに等しい
スキルLV+1
呪文の決定
 以上の手順で決められた呪文系統、呪文LVに存在する呪文の中から、ランダムに呪文を決定してください。例えば該当する呪文が4つあるならば、D6を振って1〜4にそれぞれの呪文を当てるなどすれば良いでしょう(5と6が出れば振り直し)。

(3)スクロールの金銭的価値と分配方法について

 「スクロールの金銭的価値を仲間内でどのように位置づけるか」というテーマは、冒険者たちの中でもしばしば問題になります。つまり、スクロールという「売れば金になるもの」を占有するならば魔術師の報酬からはスクロールの対価相当を目減りさせるべきだ、という考え方が正しいかどうかです。
 この問題に対する答えを考えるときには「その魔術師がパーティにおいてどういう立ち位置にいるか」ということが重要になってきます。

 精神魔法の使い手は、パーティにおいて非常に重要なポジションを担います。魔術師がいないパーティは、チャレンジできる冒険の幅がずっと狭まってしまいます。また、同じ危険に挑んだとしても、魔術師を擁するパーティに比べて生還率が低くなるでしょう。

 もし今後もその魔術師と繋がりを持ち続ける(ともに危険に満ちた冒険に臨む)つもりがあるならば、新たな呪文を習得できるように便宜を図ろうとしないパーティは、愚か者の集まりです。
 欠かせない相棒のひとりとして魔術師を見るならば、いかにたくさんの呪文を習得してもらうかが、パーティにとってもそれぞれのメンバーにとっても重要なはずです。そのことを十分に理解している冒険者たちは、仲間の魔術師がスクロールを占有することを当然だと思うでしょう。スクロールを売れば手に入るはずの金については、パーティが生還率を高めるうえでの必要経費とすら考えています。

 逆に、パーティを結成して日が浅い場合や魔術師の人となりを信用できないと考えている場合など、その魔術師との繋がりが今後どうなるか分からないということであれば、「ただでスクロールをくれてやることはない」と考える冒険者がいても不思議ではありません(むしろ正当な主張と言えるかもしれません)。ただし、十分な信頼関係を築き上げた後でも過去のスクロールの対価について追及されたり、あるいは新しく入手したスクロールの対価を求められるようなら、そのようなパーティに有能な魔術師が居続けなければならない理由はありません。
 あるいは、限りなく短絡的で自己中心的な冒険者であれば、魔術師がスクロールを占有することを許さないかもしれません。この場合でも、やはり魔術師は(そしてときには他の冒険者たちも)、その「自己中心的な冒険者」から離れていくのが当然の理屈ということになるでしょう。

4.使い魔

(1)使い魔

 使い魔にできるのは、LVが0もしくは1の動物だけです。
 これらの動物の一個体に対して「ファミリア」の呪文が成功すれば、その個体は術者の使い魔となります。もし術者が死亡するなどした場合には、この主従関係は即座に失われます。

(2)毎日の疲労

 使い魔を使役している術者は、毎朝6時になると疲労します(疲労する度合いは使い魔にする生き物によって異なり、疲労せずに済む生き物も一部にはあります)。複数の使い魔を連れている場合には、疲労が合算されます。

使い魔の種類6時の疲労
ネズミ、カエル、ヘビ
猫、小型犬、コウモリ、カラス、フクロウ
中型犬、大型犬、オオカミ、ワシ

(3)使い魔と術者の連携

感覚共有
 使い魔と術者は、どんなに離れていても感覚を共有できます。例えば、使い魔が目にしたものを術者が見ることもできますし、術者が聴いた音を使い魔がキャッチすることもできるのです。
 この感覚共有は、術者の任意で開始できます(使い魔の任意で開始することはできません)。感覚(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)をひとつ共有するたびに1点を疲労します。
 感覚共有を継続している間は、術者はあらゆるロール値に−1のペナルティを受けます。複数の感覚を共有していれば、このペナルティは重複されます。
意思疎通
 使い魔と術者は、どんなに離れていても言葉を交わすことなく、思念だけで意思疎通ができます。
 ただし、使い魔の知能は文字通り動物並みであることを忘れないでください。GMはあまりに便利な「会話」を認めるべきではありません。直接の「会話」で伝えられないような内容は、使い魔との意思疎通においても伝達不可能です。
 この意思疎通は、術者の任意で開始できます(使い魔の任意で開始することはできません)。術者は、使い魔との意思疎通を開始した瞬間に1点疲労します。
 また、意思疎通をしたままの状態では、術者はあらゆるロール値に−1のペナルティを受けます。
感覚共有と意思疎通の併用
 感覚共有と意思疎通を併用すれば、当然、疲労もロール値へのペナルティも合算されます。しかし、実質として使い魔を操っているような感じで、かなり複雑な行動をとらせるなどが可能になります。
 例えば、使い魔に「3歩あるいて2歩さがれ」などという命令は理解できないでしょうが、視覚を共有して意思疎通と併用すれば、「あるけ…(3歩あるいた時点で)…ハイ、そこでストップ。今度は後ろへさがれ…(2歩さがった時点で)…ハイ、そこでストップ」などという指示の出し方が可能になるでしょう。

毒・病気

 ファンタジー世界における「毒」や「病気」の概念、およびその対抗策としての「薬」の概念は、我々の住む現実世界におけるそれとは少々異なります。

 まず、現実世界で有毒とされるものや病気の因子となりうるものは、ファンタジー世界においてもやはり有害なものと思って良いでしょう。また、生き物に良い効果をもたらす「薬」についても、一定は現実世界と同様と考えられるでしょう(もっとも、それらについての科学的解明がどの程度進んでいるかというと、ほとんど期待できないはずです。GMは常識を働かせて判断してください)。
 しかし、ファンタジー世界において生き物の体調が崩れる原因は、疲労したり、傷口が不衛生だったり、有毒物質を摂取したりといった「普通の原因」ばかりではありません。ファンタジー世界では、体内に備わったマナの働きがおかしくなったことで体調を崩してしまうことがあるのです。

 つまりファンタジー世界では、体内のマナに働きかけて体調に何らかの変調をもたらす物質もまた「薬物」であり、それが悪い効能ならば「毒」、良い効能ならば「薬」と認識されるということです。そして、理由はどうあれ、体内のマナの働きが変調を来たし、それが生き物にとって好ましくない効果を表している状態は、いわゆる「病気」として認識されます。
 これらの薬物は、物質そのものに備わった性質というよりは、特殊な調合や製法によって生き物のマナに働きかける性質を帯びることが多いようです。あるいは古より伝わる謎の呪文の力によって作られる「薬物」もあるかもしれません。

 いずれにせよ、薬物の製法については、ごく一部の者の間でのみ研究・継承されており、一般人には簡単に手に入りません。生き物に良い効果をもたらすものであれ悪い効果をもたらすものであれ、あらゆる薬物は貴重であることを忘れてはなりません。

1.毒

(1)毒の摂取

 PCが毒の作成や使用に携わるのは、推奨しません。毒の使用は卑劣な行為とされますし、使用したことが明るみに出ただけでも公的権力によって制裁を受けるでしょう。しかし、GMがNPCとして毒を用いるキャラクターを用意したいと思ったり、あるいはやむをえない事情からPCが毒を使用する必要があるかもしれません。
 毒物はその影響に晒されるきっかけが3種類あります。
注入
 「注入」とは、血液中に直接、毒が入ることを指します。
 例えば、毒を塗られた武器の切っ先や刃で傷をつけられることで1点以上のダメージを被ったり、すでに存在する傷口に毒を塗られたりすれば、毒物の注入が成立するでしょう。
経口
 「経口」とは、毒が混入しているものを飲み食いするなどして、毒物を口から摂取することを言います。
接触
 「接触」とは、毒を染ませた布に触れたりするなど、皮膚が毒物に触れることを言います。

(2)毒物のデータ

識別値
 毒物そのものあるいは毒物によると思われる症状を見聞きしたときに、その毒物について識別を行なうことができます。
 毒物ごとに識別のための難易度(識別値)が定められていますので、【知識/薬物】スキルによる目標ロールを行なってください。この識別判定は、−2のペナルティを受けることで、【知識/一般】スキルで判定してもかまいません。ただし、ひとりの者が両方のスキルによる判定を行なうことはできません。いずれか任意のスキルで識別するようにしてください。
抵抗値
 毒物を摂取してしまった場合には、毒物ごとに抵抗のための難易度(抵抗値)が定められているので、VT抵抗を行なってください。
風味値
 毒物に極めて近くで接した場合、【味覚】スキルで、毒リストの風味値を難易度とした目標ロールに成功すれば、違和感に気づきます。
作成値
 毒物の作成をPCが行なうことは推奨しません。毒物の作成・流通・使用は厳しく規制されていることが普通です。しかし、【知識/薬物】を修得しているキャラクターは知っている毒物については作成することが可能です。
 毒物ごとに作成のための難易度(作成値)が定められており、この判定ロールに成功すれば毒物の作成に成功します。また、「識別値×抵抗値」SPの材料費が必要で、それらの材料は都市でなければ揃いません。こうした材料の収集から完成までには、「作成値×30」分が必要です。

(3)毒リスト

残酷な殺し屋(マーシレス・アサシン)
・摂取:注入
・識別:14
・抵抗:14
・作成:18
・形状:暗緑色のジェル状
・風味:無味無臭(知覚不可)

 抵抗に失敗すると、1時間ごとに1点ずつダメージ(負傷扱い)を負います。解毒されるか死亡するまで続き、これによって被ったダメージは魔法や自然治癒などの手段では回復しません。
慈悲深い殺し屋(マーシフル・アサシン)
・摂取:注入
・識別:14
・抵抗:14
・作成:20
・形状:無色透明のジェル状
・風味:無味無臭(知覚不可)

 抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドに意識を失います。解毒されるか死亡するまで決して目覚めることはありません。眠っている間は、10分ごとにVT抵抗を行なわねばならず、失敗した瞬間にその者は死亡します。
闇のベール
・摂取:経口
・識別:10
・抵抗:15
・作成:16
・形状:砂鉄のような粉末
・風味:ほのかな苦味(14)

 抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドから視力を完全に失います。この効果は毒が取りのぞかれるまで続きます。
声封じ
・摂取:経口
・識別:10
・抵抗:15
・作成:14
・形状:微細な白い粉末
・風味:ほのかな甘酸っぱさ(14)

 抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドから声を完全に失います。この効果は毒が取りのぞかれるまで続きます。
麻痺毒
・摂取:注入もしくは経口
・識別:10
・抵抗:16
・作成:16
・形状:くすんだ灰色、ややとろみのある液体
・風味:ほのかにかび臭い(14)

 抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドから判定ロールに−2ずつペナルティを受けます。このペナルティは−4(2ラウンド)まで累積され、3ラウンド目の最初にもう一度抵抗を試みることができますが、これに失敗すれば全身が完全に麻痺します。もしここでの抵抗に成功すれば全身の麻痺は免れますが、部分的な麻痺は継続するため、−4のペナルティは受け続けます。
 解毒されないかぎり、全身麻痺もしくは部分麻痺は3時間続きます。麻痺している間も、意識は失われません。
眠り姫
・摂取:注入もしくは経口
・識別:12
・抵抗:16
・作成:16
・形状:薄桃色の有色透明、ややとろみのある液体
・風味:かなり薄めた砂糖水のような甘さ(14)

 抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドから判定ロールに−1ずつペナルティを受けます。このペナルティは−4(4ラウンド)まで累積され、5ラウンド目の最初には深い眠りに陥ります。
 この眠りは通常の手段では覚めず、6時間続きます。眠りに落ちた者は、目覚めるまでのあいだ、あらゆる感覚を失います。
腐れ
・摂取:注入
・識別:16
・抵抗:14
・作成:18
・形状:黒ずんだ血液のような色、ジェル状
・風味:かなり磯臭い香り(10)

 抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドから判定ロールに−1ずつペナルティ。同時にD6を振り、毒を受けた部位を決定する(1:頭、2:右腕、3:左腕、4〜5:胴、6:脚)。
 このペナルティは−8(8ラウンド)まで累積されますが、この間、その部位は感覚が鈍り痛みなどはありません。そして、9ラウンド目の最初には、その部位が腐り果てます。腐り果てるまでは「キュア・ポイズン」が有効ですが、腐り果てたあとは「キュア・ロッティング」でしか回復できません。
 このとき、腐り果てた部位が頭部もしくは胴であった場合には、その者はただちに死亡します。腐り果てた部位が四肢であれば、その四肢は12時間後に崩れ落ちます。
 崩れ落ちる前の腐り果てた四肢は、崩れ落ちる前に解毒できれば、腐り果ててからの解毒するまでに過ぎ去った時間の48倍の時間(つまり過ぎ去った時間×2日)を要しますが、徐々に回復します。解毒後から回復までの間は、その四肢は麻痺していて使うことができません。
インプ・テイル
・摂取:注入もしくは経口
・識別:12
・抵抗:14
・作成:16
・形状:無色透明、ややとろみのある液体
・風味:生臭い匂い(12)

 インプという下級悪魔が操る同名の毒を参考に作られた毒です。本家のインプ・テイルに比べると、毒が効果を表すまでに時間がかかってしまいます。
 抵抗に失敗した者は、6時間後に突然、腹を抱えて転がりながら狂ったように笑い始めます。視線もどこか定まらず、凶暴とも取れるような表情で醜く顔を歪めながら、まるで狂人のように6時間にわたって笑い続けます。この嫌らしくも下品な笑い声は、聞く者の気分を著しく害することでしょう。その間、毒に侵された者は一切の行動が不能です。
ゾアントロピィ
・摂取:注入もしくは経口
・識別:16
・抵抗:18
・作成:特殊
・形状:真水にしか見えない
・風味:かすかに錆臭い(16)

 光と闇の神々による争いが終焉し、光の民と闇の民とが地上を分け合うようになった後、急速にその数を増やしはじめたヒューマン族に混乱と疑心暗鬼をもたらすべく、闇の陣営がもたらした呪術的な毒物――それが「ゾアントロピィ毒」です。
 ゾアントロピィ毒は、ヒューマン族の肉体にのみ作用します。抵抗に失敗すると、12時間後にセリアンスロープになってしまいます。最初のワービースト化を迎えるまでの間であれば「キュア・ポイズン」で解毒できます。しかし、一度でもワービースト化を経験してしまうと、病気としてのゾアントロピィへと移行してしまうので、「キュア・ディジーズ」でしか快復できなくなります。
 この毒薬は、どのワービーストに変化させるかによって作成の難易度が異なります(ワーウルフならば17、ワータイガーならば19、ワーベアならば21)。
 セリアンスロープおよびワービーストについては、
病気獣人も参照してください。

(4)解毒剤

 解毒剤の識別値は、対応する毒物と同値です。摂取の方法は、毒物とは違ってすべて経口となります。十分な量を飲みさえすれば、たちどころに解毒されます。意識がなかったり、麻痺している者でも、口から注げば効果を表します。
 【知識/薬物】を修得しているキャラクターは、その毒物の識別に成功すれば(≒その毒物を知っていれば)解毒剤を作成できるかもしれません。解毒剤の作成値は、解毒したい毒物の作成値と同値です。また、「解毒したい毒物の識別値×抵抗値」SPの材料費が必要で、それらの材料は都市でなければ揃いません。こうした材料の収集から完成までには、「解毒したい毒の作成値×30」分が必要です。

2.病気

マミーズ・フィーバー
・罹患:マミーの噛みつき攻撃を受ける
・伝染:しない
・識別:13
・抵抗:13

 罹患のきっかけについては、
モンスター>アンデッドの「マミー」の項を参照してください。
 この病気に侵された者は、負傷や疲労によるダメージに対する回復力が、いかなる手段に頼ろうとも半分(端数切捨て)になります。また、常に微熱がある状態が続くため、あらゆる判定ロールに−1のペナルティを受けてしまいます。
 この病気が自然治癒することはありません。「キュア・ディジーズ」の呪文によってのみ快復します。
 
モウルディ・アズマ
・罹患:アトロウシャス・モウルドの胞子を吸引する
・伝染:罹患者の半径2m以内で連続1時間を過ごす
・識別:16
・抵抗:15

 罹患のきっかけについては、モンスター>その他の「アトロウシャス・モウルド」の項を参照してください。
 この危険なカビの胞子によって罹患する悪質な喘息は、罹患者が肉体的な動作をともなう判定ロールにおいてゾロ目を振るたびに、激しい発作を引き起こします。発作に見舞われた者は激しく咳き込み、以後は毎ラウンド1点ずつ疲労を被ります。そしてその間のあらゆる判定ロールに−4のペナルティを受けます。
 発作を鎮めるには、何もせずにじっとしているしかありません(防御行動や呪文への抵抗を行なうだけでも、発作は続きます)。じっとしている間は毎ラウンド、難易度16のVT抵抗を試みてください。これに成功すれば、そのラウンドの最後に発作は鎮まります。
 この病気が自然治癒することはありません。「キュア・ディジーズ」の呪文によってのみ快復します。
ダーク・ナイト
・罹患:精神魔法の邪悪系呪文「ディジーズ」を受ける
・伝染:罹患者の半径2m以内で合計12時間を過ごす
・識別:18
・抵抗:18

 この病気の最初の罹患者は、呪文「ディジーズ」に対するWP抵抗に失敗することによって罹患します。しかし、その後の伝染による感染者は、難易度18のVT抵抗に失敗することで罹患します。魔法的な奇病ですから、罹患者の身体は「センス・マジック」に反応します。
 罹患者は、真夜中0時に難易度18のVT抵抗を行なわねばなりません。これに失敗すると、その者はただちにランダムでひとつの能力値が1低下してしまいます(それにともなって、スキルLVやHP、移動力などのあらゆる関連する数値も変化します)。最初のうちは自覚症状はありませんが、どれかひとつの能力値が2点下がった時点で、本人にもハッキリと異常が感じられます。いずれかの能力値がゼロになった者は、突然苦しみにのたうち回って死にます。
 この病気が自然治癒することはありません。「キュア・ディジーズ」の呪文によってのみ快復します。病気が治った時点ですでに失われている能力値は、経験点を費やすことでしか取り戻せません。
ゾアントロピィ
・罹患:同名の毒薬「ゾアントロピィ」による
・伝染:ワービーストの牙を受ける
・識別:15
・抵抗:18

 この病気の罹患者は「セリアンスロープ」と呼ばれます。セリアンスロープは、月光を浴びると、全身がバラバラになるような強烈な苦痛に悶えます。そして、その2ラウンド後にはワービースト化します。最初の変身を迎えるまでは、罹患者には一切の自覚症状がありません。
 どのワービーストと化すかは、侵された毒の種類によって異なります(牙による伝染であるならば、噛んだワービーストの種類に準じます)。セリアンスロープは、ワービースト化のたびに2D6を振らなければなりません。もし出目が2だった場合には、夜が明けても人間の姿に戻ることはありません。永遠にワービーストとして生きていくことになります。
 ワービーストになっている間は、一切の人格や理性を失い、ただただ殺戮衝動につき動かされることになります。さんざん暴れ回ったセリアンスロープは、(まだ人の姿に戻ることが可能であるならば)夜明けの瞬間から苦しみはじめます。そして、その2ラウンド後には人間の姿に戻ります。人間の姿に戻ったときには、ワービースト化していた間の記憶はすべて欠落しています。
 ワービースト化で体格が急変する際には、衣類が破損するか脱げ落ちます。もし鎧を着ていた場合には、強い圧迫によって毎ラウンド6点の疲労ダメージを被ります。セリアンスロープのワービースト化は、ビーストクランと違って意志も知恵も失われますから、人に戻ることも鎧からうまく抜け出すこともできません。放っておけば、やがて死んでしまうでしょう。
 この病気が自然治癒することはありません。同名の毒薬ゾアントロピィによるものであれ、ワービーストの牙によるものであれ、抵抗に失敗すると12時間後にセリアンスロープになってしまいます。最初のワービースト化を迎えるまでの間であれば「キュア・ポイズン」で解毒できます。しかし、一度でもワービースト化を経験してしまうと「キュア・ディジーズ」の呪文でなければ治せません。また、治癒のための呪文は人の姿をしているときに掛けなければなりません(ワービーストと化している間や変身の最中には、「キュア・ディジーズ」は効果がありません)。
 セリアンスロープおよびワービーストについては、獣人も参照してください。


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