PCが毒の作成や使用に携わるのは、推奨しません。毒の使用は卑劣な行為とされますし、使用したことが明るみに出ただけでも公的権力によって制裁を受けるでしょう。しかし、GMがNPCとして毒を用いるキャラクターを用意したいと思ったり、あるいはやむをえない事情からPCが毒を使用する必要があるかもしれません。
毒物はその影響に晒されるきっかけが3種類あります。
注入
「注入」とは、血液中に直接、毒が入ることを指します。
例えば、毒を塗られた武器の切っ先や刃で傷をつけられることで1点以上のダメージを被ったり、すでに存在する傷口に毒を塗られたりすれば、毒物の注入が成立するでしょう。
経口
「経口」とは、毒が混入しているものを飲み食いするなどして、毒物を口から摂取することを言います。
接触
「接触」とは、毒を染ませた布に触れたりするなど、皮膚が毒物に触れることを言います。
残酷な殺し屋(マーシレス・アサシン)
・摂取:注入
・識別:14
・抵抗:14
・作成:18
・形状:暗緑色のジェル状
・風味:無味無臭(知覚不可)
抵抗に失敗すると、1時間ごとに1点ずつダメージ(負傷扱い)を負います。解毒されるか死亡するまで続き、これによって被ったダメージは魔法や自然治癒などの手段では回復しません。
慈悲深い殺し屋(マーシフル・アサシン)
・摂取:注入
・識別:14
・抵抗:14
・作成:20
・形状:無色透明のジェル状
・風味:無味無臭(知覚不可)
抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドに意識を失います。解毒されるか死亡するまで決して目覚めることはありません。眠っている間は、10分ごとにVT抵抗を行なわねばならず、失敗した瞬間にその者は死亡します。
闇のベール
・摂取:経口
・識別:10
・抵抗:15
・作成:16
・形状:砂鉄のような粉末
・風味:ほのかな苦味(14)
抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドから視力を完全に失います。この効果は毒が取りのぞかれるまで続きます。
声封じ
・摂取:経口
・識別:10
・抵抗:15
・作成:14
・形状:微細な白い粉末
・風味:ほのかな甘酸っぱさ(14)
抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドから声を完全に失います。この効果は毒が取りのぞかれるまで続きます。
麻痺毒
・摂取:注入もしくは経口
・識別:10
・抵抗:16
・作成:16
・形状:くすんだ灰色、ややとろみのある液体
・風味:ほのかにかび臭い(14)
抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドから判定ロールに−2ずつペナルティを受けます。このペナルティは−4(2ラウンド)まで累積され、3ラウンド目の最初にもう一度抵抗を試みることができますが、これに失敗すれば全身が完全に麻痺します。もしここでの抵抗に成功すれば全身の麻痺は免れますが、部分的な麻痺は継続するため、−4のペナルティは受け続けます。
解毒されないかぎり、全身麻痺もしくは部分麻痺は3時間続きます。麻痺している間も、意識は失われません。
眠り姫
・摂取:注入もしくは経口
・識別:12
・抵抗:16
・作成:16
・形状:薄桃色の有色透明、ややとろみのある液体
・風味:かなり薄めた砂糖水のような甘さ(14)
抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドから判定ロールに−1ずつペナルティを受けます。このペナルティは−4(4ラウンド)まで累積され、5ラウンド目の最初には深い眠りに陥ります。
この眠りは通常の手段では覚めず、6時間続きます。眠りに落ちた者は、目覚めるまでのあいだ、あらゆる感覚を失います。
腐れ
・摂取:注入
・識別:16
・抵抗:14
・作成:18
・形状:黒ずんだ血液のような色、ジェル状
・風味:かなり磯臭い香り(10)
抵抗に失敗すると、毒を受けた次のラウンドから判定ロールに−1ずつペナルティ。同時にD6を振り、毒を受けた部位を決定する(1:頭、2:右腕、3:左腕、4〜5:胴、6:脚)。
このペナルティは−8(8ラウンド)まで累積されますが、この間、その部位は感覚が鈍り痛みなどはありません。そして、9ラウンド目の最初には、その部位が腐り果てます。腐り果てるまでは「キュア・ポイズン」が有効ですが、腐り果てたあとは「キュア・ロッティング」でしか回復できません。
このとき、腐り果てた部位が頭部もしくは胴であった場合には、その者はただちに死亡します。腐り果てた部位が四肢であれば、その四肢は12時間後に崩れ落ちます。
崩れ落ちる前の腐り果てた四肢は、崩れ落ちる前に解毒できれば、腐り果ててからの解毒するまでに過ぎ去った時間の48倍の時間(つまり過ぎ去った時間×2日)を要しますが、徐々に回復します。解毒後から回復までの間は、その四肢は麻痺していて使うことができません。
インプ・テイル
・摂取:注入もしくは経口
・識別:12
・抵抗:14
・作成:16
・形状:無色透明、ややとろみのある液体
・風味:生臭い匂い(12)
インプという下級悪魔が操る同名の毒を参考に作られた毒です。本家のインプ・テイルに比べると、毒が効果を表すまでに時間がかかってしまいます。
抵抗に失敗した者は、6時間後に突然、腹を抱えて転がりながら狂ったように笑い始めます。視線もどこか定まらず、凶暴とも取れるような表情で醜く顔を歪めながら、まるで狂人のように6時間にわたって笑い続けます。この嫌らしくも下品な笑い声は、聞く者の気分を著しく害することでしょう。その間、毒に侵された者は一切の行動が不能です。
ゾアントロピィ
・摂取:注入もしくは経口
・識別:16
・抵抗:18
・作成:特殊
・形状:真水にしか見えない
・風味:かすかに錆臭い(16)
光と闇の神々による争いが終焉し、光の民と闇の民とが地上を分け合うようになった後、急速にその数を増やしはじめたヒューマン族に混乱と疑心暗鬼をもたらすべく、闇の陣営がもたらした呪術的な毒物――それが「ゾアントロピィ毒」です。
ゾアントロピィ毒は、ヒューマン族の肉体にのみ作用します。抵抗に失敗すると、12時間後にセリアンスロープになってしまいます。最初のワービースト化を迎えるまでの間であれば「キュア・ポイズン」で解毒できます。しかし、一度でもワービースト化を経験してしまうと、病気としてのゾアントロピィへと移行してしまうので、「キュア・ディジーズ」でしか快復できなくなります。
この毒薬は、どのワービーストに変化させるかによって作成の難易度が異なります(ワーウルフならば17、ワータイガーならば19、ワーベアならば21)。
セリアンスロープおよびワービーストについては、
病気や
獣人も参照してください。
解毒剤の識別値は、対応する毒物と同値です。摂取の方法は、毒物とは違ってすべて経口となります。十分な量を飲みさえすれば、たちどころに解毒されます。意識がなかったり、麻痺している者でも、口から注げば効果を表します。
【知識/薬物】を修得しているキャラクターは、その毒物の識別に成功すれば(≒その毒物を知っていれば)解毒剤を作成できるかもしれません。解毒剤の作成値は、解毒したい毒物の作成値と同値です。また、「解毒したい毒物の識別値×抵抗値」SPの材料費が必要で、それらの材料は都市でなければ揃いません。こうした材料の収集から完成までには、「解毒したい毒の作成値×30」分が必要です。