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不定期コラム

初めてのTRPG

2007.07.01 記

1.経験者を探そう!

 これまでTRPGという遊びをやったことがない人が、実際にTRPGを遊んでみたいと思ったら、どうすれば良いのでしょうか。
 TRPGは確かに面白い遊びです。しかし、コンピュータ・ゲームなどと違って、やったことがない人が手探りで遊ぶには向いていません。TRPGとはどういう遊びであるかをかなり詳細に知っている人でも、初めて実際に遊ぶときは戸惑ってしまうかもしれません。

 そこで、TRPG未経験者が「TRPGを遊びたい」と思ったのなら、まずは「TRPG経験者」を探してみることをオススメします。
 何も恥ずかしがることはありません。友人という友人に、手当たり次第「テーブルトークRPGって知ってる?」と訊いてみれば良いのです。相手が「TRPG」を知っているなら、「テーブルトーク」という言葉に反応するはずです。もし相手が「TRPG」を知らない様子なら、「いや、知らないなら別に気にしないで」と返せば済みます。

 そうして首尾よく経験者を見つけることができたら、その人に「ゲームマスター(GM)」をやってくれるように頼みましょう。TRPGにおいては、GMの負担は非常に大きく、また経験が問われる役どころでもあります。
 大抵のTRPG経験者は、「TRPGをやってみたい」という意志を持った人をみると喜んで手伝ってくれるはずです。また、探し出したTRPG経験者にはTRPG仲間が他にいるかもしれませんから、うまくすれば彼らからの協力も頼めるかもしれません。

2.友だちを引きずり込め!

 GMひとりとプレイヤーひとりでは少し寂しいので、「TRPG? よく分からないけど、やってみても良いよ」と言ってくれそうな友人を誘いましょう。GMひとりとプレイヤー3人〜6人くらいが適当です。
 TRPGでは、プレイヤーとして楽しむうえでもちょっとしたコツがあるのですが、GMの難しさに比べればずっと簡単です。もちろん、経験者が多いに越したことはありません。プレイヤー側にもTRPG経験者がいた方が、GMの負担が軽減できます。

 プレイヤーをやる人にはTRPGで遊んだ経験がなくても何とかなります。ただし、ふたつだけ条件があります。それは「TRPGに興味を持ってくれていること」と「協調を重んじること」です。
 素直に「TRPG? ちょっと面白そうだな」という反応を示してくれて、また「みんなと楽しむ」「周りにも楽しんでもらう」「うまく行かないときでも腐らずにやる」という姿勢を大切にできる人であれば、「TRPGなんて言葉、初めて聞いたよ」という人でもまったく問題ありません。

 具体的にどういう友人知人を引きずり込めば良いかというと、これはもう、あなたの嗅覚(笑)に頼るしかありません。
 TRPGで扱われる世界観は、一般的には、いわゆる「ファンタジー」と呼ばれるものが多いようです。ですから、「ドラクエ」や「ハリポタ」など魔法や怪物たちが出てくるストーリーが好きだという人であれば、TRPGにも興味を持ちやすいかと思います。

3.システムを決める

 あえて「初めてTRPGをする人にオススメなシステム」を挙げるとしたら、「ソードワールドRPG」が適当だと思います。普及率(≒入手しやすさ)、完成度、システムそのものの遊びやすさ、どれを取っても初心者には持ってこいのシステムと言えます。
 また、実際にTRPGを遊んでいる様子を読み物的にまとめ上げた「リプレイ」も数多く出版されています。TRPG未経験者が事前に雰囲気を感じ取っておくためには、こうした「リプレイ」を読んでおくのは効果的です。

 しかし、どのシステムで遊ぶかは、基本的にはGMを引き受けてくれる人に一任するのが良いでしょう。
 TRPGを遊ぶことを「セッション」と呼びます。セッションは、GMとプレイヤーたちとの「言葉のキャッチボール」で進められます。とはいえ、セッションの全貌についてもっともよく把握しているのは、シナリオを知っているGMです。それゆえに、セッション全体をコントロールする仕事の大部分は、GMの双肩にかかっています。

 GMを務める人にとって不慣れなシステムだと、ただでさえ大きいGMの負担がさらに大きくなります。
 しかも、TRPG未経験者をフォローをしながらということになれば、GMがセッション全体を適切にコントロールするのはますます難しくなってしまいます。

4.時間を確保する

 TRPGのセッションは、1回につき数時間が必要です。GMが用意したシナリオのヴォリュームにもよりますが、短くて2時間、長ければ7〜8時間といったところでしょうか。3〜4時間を超えると集中力が落ちてきますから、セッションが長引いた場合には途中で休憩や食事なども挟む必要があります。
 特に未経験者がいる場合や不慣れなシステムを使っている場合には、セッションが途中で何度も中断してしまいがちです。そもそも、プレイヤーキャラクター(PC)を作成するだけでも、かなり手間取ってしまうはずです。

 少し話は逸れますが、セッション中の脱線(雑談)は思った以上に頻繁に起こります。これは必ずしも悪いことではありませんが、あまり度が過ぎるとセッションの緊張感を削いでしまうこともあります。
 参加者の誰かが帰らなければならない時間になってしまったり、借りていた場所を退かなければならない時間になってしまったりして、セッションの途中で時間切れになってしまうようなことになっては、目も当てられません。しかも、その原因が冗長すぎた雑談のせいだとなれば、なおのことです。

 そんなことにならないように、セッション中の雑談はほどほどにするとともに、セッションの時間は十分余裕をもって確保しておくようにしましょう。

5.場所を確保する

 TRPGのセッションでは、場所選びも重要です。会話で成立するゲームである以上は、セッションの間はずっと喋りっぱなしです。そして、少なからぬ人数が一堂に会することになるわけですから、あまりにも狭い場所だと窮屈です。
 なによりも、セッションが盛り上がってくると、自然と声のヴォリュームが大きくなってしまいます。特に戦闘シーンでは、ダイス(サイコロ)の目に一喜一憂。いくら自制しようと思っていても、ダイスの神様の気まぐれの前には思わず大声で「よっしゃあー!」だの「なんでやねーんっ!」だのと叫んでしまわずにはいられません。

 それなりにスペースがある場所。そして、少々騒いでも周りに迷惑をかけずに済む場所。
 この二点を考慮して場所選びをする必要があります。

 一番お手軽なのは、参加メンバーの誰かの自宅です。しかし、少々騒いでも大丈夫というようなお宅はそうそうありません。
 そんなときのオススメは、地元の公共施設(公民館の会議室など)です。借りる時間にもよりますが、大体1000円〜2000円前後で借りることができます。参加人数で割り勘にすれば、ひとり数百円程度の負担で済みます。ただし、あらかじめ予約が必要であることがほとんどなので、注意してください。

 公共施設に比べるとかなり割高にはなりますが、カラオケボックスを利用するという人もいるようです。
 その場を離れずに飲食物をオーダーすることもでき、また隣室も「騒音」を立てて楽しんでいる人たちですから気兼ねなく大騒ぎできるというメリットがあるようです。

6.どうしても経験者が見つからない!

 どうしても周辺にGMをやってくれそうな、つまり教えを乞えるTRPG経験者がいない場合は、ちょっと厄介です。

 サークルやゲーム関連企業などによる「TRPGコンベンション」というイベントが開催されることがありますが、これに参加させてもらうというのもひとつの手です。
 ただし事前に必ず、主催者側に「まったくの未経験者である」と伝えるようにしましょう。未経験者のフォローは簡単ではありませんから、様々な事情から受け入れ態勢がないコンベンションも少なくありません。

 最近では、「オンライン・セッション(オンセ)」という手法も普及しています。インターネットのチャット機能を利用して、TRPGのセッションを行なう方法で、空間的な距離を苦にせずセッションが楽しめるというメリットがあります。
 しかし、オンセは初心者にはあまりオススメできません。インターネット越しのやりとりでは丁寧に初心者をフォローするのがなかなか難しく、また間の取り方が独特なので慣れない内は時機を逸したセリフを書き込んでしまったりして、なかなかスムーズなセッションが楽しめません。

 もっとも現実的なのは「とにかく気心の知れた初心者だけでやってみる」という方法です。
 この場合、最初の数回のセッションが失敗に終わることは、覚悟の上で取り組む必要があります。未経験ながらも一番TRPGに関する知識がある者が、市販のシナリオを読んでGMを務め、プレイヤーもGMも手探りで数回セッションをやってみるのです。
 初めてTRPGという遊びが世に生まれたときには、ほとんどの人がそうした試行錯誤を繰り返しながら、ほぼ独力で「TRPGの遊び方」を学んだはず。であるならば、まったくの初心者だけでも、根気よくセッションを続ける内にきっとコツがつかめてくるはずです。

7.さあ、楽しめ!

 さて、ずいぶんと前準備に時間がかかってしまいました。
 そうなんです。TRPGというのは、遊ぶまでに結構な手間がかかるのです。参加者全員のスケジュール調整、場所の手配、そしてGMであればシナリオの準備も必要です。初めてやるシステムならば、必要最低限のルールブックを確保し、あらかじめ参加者全員がひと通りは通読しておかなければなりません。もし身近にTRPG経験者がいなければ、未経験者だけで手探りで遊び方を体得していかねばなりません。

 しかし、そういった面倒なことがあったところで、TRPGが面白いゲームであることには変わりありません。
 TRPGから得られる楽しさは、どんなに素晴らしい映画を観ても、どんな超大作のコンピュータRPGをクリアしても、決して得られることのない独特のものです。どうか諦めずに、すぐそこに見えているTRPGの世界への扉をこじ開けてみてください。この最初の取っ付きにくさこそが、TRPGを楽しむ人が少ない最大のネックなのです。

 もしあなたが、晴れて初セッションの日を迎えることができたなら、いよいよあとは楽しむだけです。
 GMと仲間のプレイヤーたちを信じてください。PCになりきって知恵を絞ってください。運に任せてダイスを転がしてください。そして何より、最大限に想像力を駆使してください。
 きっと、感じたことのない楽しさが、あなたを待っているはずです。そして、次のセッションが待ち遠しくてたまらない自分に気づくはずです。


 素晴らしきTRPGの世界へようこそ!
 TRPGの魅力を知る人がここにあらたに生まれたことを、私たちは心から歓迎します!



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