フォーカードHOMEページ

ワールドガイド/ブラックキール島

目次

ブラックキール島
マステルルザ王国
  ├王都ルーザッタ
  ├くろがねの町アイアンコール
  ├港町スタリオン
  ├城砦都市ステロス
  └藍色の森

ブラックキール島

ブラックキール島
(地図:BLACK)
1.ルーザッタ
2.アイアンコール
3.スタリオン
4.ステロス
5.藍色の森
6.内海
7.シックスブロス群島


 周辺を外洋に囲まれたこの島は、島の東側を南北に縦走する黒々とした山脈を船の竜骨に見立てて、「ブラックキール島」と呼ばれている。
 ブラックキール山脈は、遠目には黒々とした岩肌に覆われているかのように見えるが、実際には相当量の植物を宿している。また、万年雪に覆われた山々や季節によっては雪に覆われる山々も多い。山脈の地下には大量の水脈が存在しており、そこから集められた水が島内各地を流れる大小の河流となって人々の生活を支えている。
 町や集落の周囲および主要な街道以外は人の手のほとんど入らぬ荒野であり、人々が街道や間道を逸れて移動することはほとんどない(地図には載らない森や川・湖などが無数に存在する)。

 島の中央にある「内海(ないかい)」と呼ばれる巨大な湾以南は、穏やかな大河「ルルザ川」の豊かな恵みを最大限に活かして興された「マステルルザ王国」の領土である。
 王国を名乗ってはいるものの、実際は各地で領主たちがほぼ独力での統治を行なっている。王家は形式上それらを取りまとめているにすぎず、いわゆる都市国家群に極めて近い様相を呈している。
 しかし、統治形態に多少の歪みがあっても、肥沃な土壌に中規模統治組織が林立するという状況がゆえに、目的論的にも方法論的にも特定勢力の侵出が起きにくい。そのため、王国内では比較的平穏な情勢が保たれている。

 湾の東に広がる砂漠は「魔獣の砂漠」と呼ばれる危険な土地である。この不毛の地には、昔から砂漠の民が暮らしているが、現時点ではマステルルザとの大きな衝突はない。

 湾の北側は王国の支配が及ばぬ辺境の地である。
 土着の人々や様々な理由で北へ渡った者たちが自給自足の暮らしを営む集落が点在する程度で、十分な統治機構と呼べるようなものはない。各地には古代の遺跡や遺物も無数に残されていて、危険なモンスターも数多く生息している。それゆえ、南のマステルルザに比べると格段に危険な土地と言えるだろう。
 南と北とが相互に行き来するには砂漠越えもしくは海路によるしかなく、大軍をもって征するのが難しい。また、危険が多いだけの荒涼たる土地を欲する切迫した理由もないため、王国においてこの地の現状が問題視されることはほとんどない。

 山脈の北東にある開けた土地と3つの島は、その地理的条件の困難さから未踏の地である。
 島の南西に浮かぶ「シックスブロス群島」も、周辺の波の荒さや暗礁の多さから船を近づけることが困難とされ、やはりほとんど人の手が入っていない。ただし、群島最大の「一島(いちのしま)」では、藍色の森を抜け出したエルフたちが新天地を築きつつあると言われている。

マステルルザ王国

 ブラックキール島の東側を南北に走るブラックキール山脈。その南端に高々とそびえ立つ黒き山ブラックロッドに源流を持つ、肥沃なルルザ川の恩恵で発達した王国。
 太古の神官の血を引くと言われる王家によって世襲制で統治されている。事実、王家からは優れた聖職者が輩出されており、現王のパトリック・マステルルザIV世も、非常に優秀な聖職者である。

 王国という名ではあるが、その実態はほどんと「自治都市の集合体」である。タテマエとしては、王国は各都市や農村を治める領主を任命し、彼らが統治する領土に王国への納税を義務付け、代わりに収集した国家財産の平等な再配分のためのアジャスト作業、および他国の侵略に対する防衛ないしモンスターや山賊の討伐といった国軍による安全保障を担う。
 しかし、マステルルザ王国にとって、他国からの侵略については地形的条件ゆえにさほどの懸念がない。またモンスターや山賊の討伐においても、遠方の王国騎士団の到着を待つより、独自で幾ばくかの武力を備えておくか必要に応じて傭兵を雇うなどして解決に当たる領主がほとんどである。

 ルルザ川のおかげで農作物の収穫量が非常に安定的で、歴史に残されている記述を見る限りは、王国を食糧難が襲ったことはほとんどない。また沿岸部では近海へ漁船を出しての漁業が盛んに行なわれている。
 食うに困らないという僥倖に恵まれた国ゆえに総じて治安は整っている方だが、都市や大規模な集落といった人口集中部以外では野生の動物やモンスターや無法な流浪者などが闊歩しており、身を守るすべを知らない者が外野に足を踏み出すことはまれである。生まれた土地を離れずに一生を終える者も珍しくない。

王都ルーザッタ
くろがねの町アイアンコール
港町スタリオン
城砦都市ステロス
藍色の森

魔術師ギルド「賢者の門」

 「賢者の門」とは、魔術師や賢者が中心となって、遺失知識をはじめとする知識の探求および魔法的資産ないし遺産の管理を行なうことを主目的とした魔術師ギルドの名称であり、マステルルザ王国の各地に支部を持つ。
 特に呪文のスクロールの不正所持・不正流通には敏感であり、常に厳しい管理を行なっている。その目的の性質上、犯罪者との衝突や未知の遺跡の探索など、様々な危険を伴うことが多い。「賢者の門」では、そういった任務に当たるために実践的な能力を持つ魔術師だけでなく、彼らを物理的な脅威から守る「守護者」と呼ばれる者たちを抱えている。「守護者」は、特定の魔術師とペアになって危険な任務をこなすのである。

 すべての精神魔法を志す者および習得している者は、「賢者の門」に加入して管理下に置かれる決まりになっている。そうすることによって、「賢者の門」は国内の魔術師の所在や彼らのスキル(特に修得した呪文)や行動を把握して治安維持に役立てている。一方、加入者の方では魔法のアイテムの売買や物品鑑定など様々なサービスを享受することができるという仕組である。
 「賢者の門」に属さないもぐりの魔術師は、その存在が知られれば「賢者の門」から厳しい追及を受けることになる。

 「賢者の門」の相談料は、30分あたり5SP。これは、相談員の実働時間についてカウントされる。相談員の当たり外れに左右されるので、あまり利用されていないのが実情である。
 開架図書の閲覧は、魔術師ギルド構成員なら無料。魔術師以外の者でも、年間会員登録料5GPを支払えば一般会員として登録され、自由に閲覧できる。一般会員になるのは、学生・学者や富裕層、冒険者などが多い。

盗賊ギルド

 マステルルザ王国では、「盗賊ギルド」という闇の組織が存在する。
 盗賊ギルドは文字どおり盗賊たちの組合であり、非合法な生業で暮らしを立てている者たちの多くがそこに所属している。構成員は、ギルドに対して一定の上納金を納めることになっており、その見返りとしてギルドから特殊な技術や情報を得る資格を与えられる(あくまでも資格が得られるというだけであり、実際に技術を教わったり情報を手に入れる際には、別途カネが必要である)。

 ギルドは王国各地(特に都市部)に散在しており、基本的にはそれぞれが独立して組織運営に当たっている。ある土地のギルド構成員であっても、別の土地に行けば余所者として扱われることが多い。
 それぞれが自分たちの土地に根付いて仕事をするので、ギルド間での抗争というようなものはほとんど存在しないが、小規模な衝突くらいなら日常茶飯事である。また、複数の都市に跨って企てられるような「大仕事」であれば、一時的に異なるギルドどうしで協力体制を組むこともあるという。

 各地のギルドは、その土地内に本部を含む隠れ家をいくつか持っており、その所在については「一般人にとっては謎であり、治安当局にとっては公然の秘密である」と言われている。衛兵などに追われた盗賊たちは、これらの隠れ家に逃げ込む。こうなると、衛兵たちには手が出せない。これは、盗賊ギルドと土地の統治者との間に存在するいわゆる暗黙の了解である。
 この奇妙な関係は必ずしも悪い面にのみ作用しているわけではない。構成員に対する特権を確保する代わりに、ギルドは自分たちが管理している土地で凶悪犯罪が起きないように一定の自主規制を行なっている。また、重大事件においてはギルドが積極的に人材を派遣することもあるし、ときに重大な凶悪事件の犯人に対する手がかりをリークしてくれることもある(身内を売らないというタテマエ上、非常に回りくどかったり、奇妙に謎めいた情報になりがちではあるが)。

王都ルーザッタ

1.概要

 都市機構を担う中心市街地(旧市街地)は10mの石造りの城壁によって囲われており、その周辺を新市街地が取り巻いている。新市街地の外周は5m程度の石壁で覆われており、さらにその外部には農耕地が広がっている。農耕地と外野を隔てるものは、あってないような低い石壁や土壁、木製の柵などである。
 つまり、王都ルーザッタが二重の城壁で守られており、その外郭のルルザ川沿いに農村が広がっているような状態なわけだが、その管轄についても、新市街地と農耕地とを隔てる城門から内側のみが王の統治庇護下にあり、外側の農村部については王の遠縁の貴族たちが領主として統治に当たっている。
 また、この町は、地下に太古の遺物である地下道が縦横に走っていることでも有名である。そのいくつかは下水道として活用されているが、複雑な構造で迷いやすいということもあって大部分は使われていない。噂では、盗賊ギルドの抜け道としても利用されている地下道もあるという。

 農耕地に暮らすのは、とても裕福とはいえない農民層である。もちろん、ルーザッタの周辺にある農耕地からの収穫による食糧だけでルーザッタの人口に必要な食糧をまかなっているわけではないが、ルルザ川流域という肥沃な土壌と王都の外周という地の利から自然発生的に農民が集い、農耕地が広がっていった。
 ブラックキール山脈から肥沃な土を運んでくるルルザ川は、大きな氾濫を起こすこともほとんどなく、流域の農耕地に安定した収穫をもたらしている。

 新市街地は、まれに中流貴族や商人などが暮らす家がある程度で、ほとんどがさほど裕福でないレベルの市民の生活の場となっている。施療院・神殿・衛兵詰所・役場・公衆浴場などの市民生活に必要な大抵の施設は、新市街地には揃っている。
 貧困層は、農耕地では雑多な仕事(靴磨き、金物修理、衣繕い、あるいはスリ!)が得られないうえに、農地は王家の遠い縁者であるところの領主によって厳しく管理されていることもあって、大抵が新市街地に暮らしている。
 王都は総じてかなり治安が良いのだが、強いて言えば新市街地がもっとも治安が良くない。ルーザッタの盗賊ギルド本部も新市街地にあると言われている。旅人が出入りする安宿や安酒場なども多く、冒険者にとって欠かせない施設である魔術師ギルド「賢者の門」も新市街地にある。

 旧市街地には王城や上流貴族・騎士・大商人の住居などが立ち並び、豪奢な施設なども多い。また、新市街地にある生活施設は、同じく旧市街地にも揃っている(しかも数段グレードが上である)。ただし、「賢者の門」だけは、新市街地にしか設置されておらず、旧市街地には御用聞きのための出張所が設けられているだけである。

2.防衛上の入出管理

 旧市街地に住まう者は、旧市街地と新市街地とを隔てる城門も、新市街地と農耕地とを隔てる城門も、一切の通行税を必要とせずに台帳への記帳のみで自由に出入りできる。
 農耕地の住人は、新市街地への門を出入りする際には5CPの通行税と通行台帳への記帳が義務付けられている。旧市街地への進入は原則として許されていない。
 新市街地に住まう者は、農耕地および旧市街地への進入が可能である。ただし、旧市街地に入る際には武装の解除が求められ(短剣以外の武具・防具を帯びることを許されない)、通行台帳への記帳も義務付けられている。また、通行税として1回あたり1SPを支払わねばならない。

 他所者がルーザッタの新市街地への門を出入りするには、外来者台帳への記帳と一人1回当たり2SPの通行税の支払いが義務付けられている。しかも、もし馬などの家畜を連れていたり、馬車などの荷車を運び入れる場合には、そのそれぞれが「一人」として課税の対象となる。聖職者や「賢者の門」の職員およびそれらの者が身元を保証する同行者(家畜・荷車含む)については、この通行税が免除される(この場合でも、外来者台帳への記帳は決して免除されない)。

 衛兵隊に所在と身元を把握させる手続き(この手続きには、ゆうに半日は必要だと言われている)を取れば、たとえ余所者であろうとも一時的な新市街地での住民証が付与される。これは3ヶ月間に渡り、ルーザッタと外野との出入りを通行税抜きに自由に許してくれる(台帳への記載は免除されない)ものであり、発行時と更新時に手数料として2GPが必要である。

3.商業施設

過去の栄光亭

 ルーザッタ新市街地の中心部にある宿。少し落ち着いた雰囲気の宿屋で、マスターも宿代をきちんと払えばほとんど干渉してこない。一階が酒場兼食堂、二階・三階が宿泊用のスペースとなっている。

 食事:9CP前後
 酒:5CP〜10CP程度
 一泊:90CP
 一泊二食付き:100CP

ブロン・カーソン

人間・男 52歳
身長174cm 体重66kg 右利き
総合LV:5

IQ:4 DX:5 ST:7 WP:6 VT:5
HP:19/31/41

 過去の栄光亭の主人。まぶしげに細めた目、口ひげ、適当に脂の乗った身体…と、ひとことで言えばシブいオヤジ。若い頃はステゴロの得意な、闇試合の闘士であった(重いパンチとそのタフネスから「鉄拳のブロン」と恐れられたと言う)。しかし、あるとき人生最大の大博打に勝ち、意にそわぬ拳闘士を廃業して過去の栄光亭を開業した。
 闘士時代から長いブランクがあるので、昔日の力は失われているが、過去の栄光を未だ忘れられないという一面も持つ。無骨で義理堅い性格なので、親しくなれば助力も期待できるかもしれない。


主なスキル

言語/共通語 7LV

接近戦 10LV(特化:素手、回避、剣)

知識/一般 6LV
知識/裏社会 6LV
忍び歩き 8LV
捜索  6LV
聞き耳 5LV
鑑定 5LV
調理 8LV
味覚 7LV


白竜亭

 ルーザッタの大門すぐ近くにあるため、町の外から新市街地へ入るとすぐに看板が目に付く。その利便性と豪気な屋号に惹かれた旅人などがよく利用するので、それなりに客足は多くて儲かってもいるのだが、実は大した店ではない。一階が酒場兼食堂、二階が宿泊用のスペースになっている。

 食事:7CP前後
 酒:3CP〜7CP程度
 一泊:60CP
 一泊二食付き:70CP

エドワード・ホワイト

人間・男 55歳
身長160cm 体重46kg 右利き

総合LV:1

IQ:5 DX:4 ST:4 WP:5 VT:4
HP:12/22/30

 白竜亭の主人。禿頭の細身の男。小心者なのでおかしな真似はしないのだが、商売っ気がありすぎるので嫌う向きも多いかもしれない。
 行動の判断基準は、主に金銭的な損得勘定。ただし、身体的な危機に直面すれば、たちまち損得勘定よりも安全を優先する程度には小市民である。


主なスキル

言語/共通語 8LV

知識/一般 6LV
知識/裏社会 6LV
知識/伝承 6LV

鑑定 6LV
調理 7LV
味覚 8LV


鈎爪亭

 ルーザッタの貧民街にある盗人宿。片手が鈎爪で人相の悪い男がマスター。一般人なら、まず足を踏み入れることを躊躇うはずの場所である。
 一階に、酒場と、わずかばかりの宿泊スペースがある。寝泊りするための部屋は簡素なベッドと袖机が収まればもう一杯であり、とても居心地が良いとは言えない。

 食事:5CP前後
 酒:2CP〜10CP程度
 一泊:20CP

ユーキン・ハークス

人間・男 37歳
身長175cm 体重70kg 両利き

総合LV:3

IQ:5 DX:6 ST:5 WP:5 VT:4
HP:14/24/32

 鈎爪亭の主人にして、盗賊ギルドの構成員。他の町との抗争中に右腕を失う。現在はその時の功績から、この盗人宿を任されているが、まだその戦闘能力は健在。
 状況に応じて使い分けるアタッチメントの義手で臨機応変の働きを見せるが、普段は鈎爪を好んで装着している(それが、宿屋の屋号にもなっている)。


主なスキル

言語/共通語 8LV

接近戦 9LV(特化:素手、剣、回避)

知識/一般 6LV
知識/裏社会 10LV
知識/伝承 6LV
知識/罠 7LV
忍び歩き 8LV
アクロバット 8LV
捜索 7LV
鑑定 6LV
調理 7LV
味覚 6LV


4.特殊な施設

「賢者の門」ルーザッタ本部

 ルーザッタ各地に散在している「賢者の門」を統括管理しているのが、このルーザッタ本部である。
 通常の「賢者の門」の仕事に加えて各支部の統括機能をも担うため、この本部で働く魔術師たちの数は他の「賢者の門」を大きく凌駕している。また、その力量においても優れている者が多く在籍している。

ローデス・グッドマン

人間・男 36歳
身長175cm 体重75kg 右利き

総合LV:6

IQ:6 DX:4 ST:5 WP:6 VT:5
HP:15/27/37

 背は低く、角刈りで四角い顔の男。法を遵守することを当然と信じて疑わず、極めて真面目でお堅い性格。
 ライバルの魔術師の失脚により、「賢者の門」ルーザッタ支部の執務官となる。


主なスキル

言語/共通語 9LV
言語/エルフ語 9LV
言語/ルーン 12LV

接近戦 6LV(特化:回避)
精神魔法 12LV(特化:物理)

知識/一般 9LV
知識/裏社会 8LV
知識/伝承 9LV
鑑定 7LV


クリス

人間・女 16歳
身長155cm 体重40kg 右利き

総合LV:4

IQ:6 DX:6 ST:4 WP:5 VT:5
HP:13/23/33

 元貴族であるが、事故のため家族が死に絶えるという悲劇を体験する。学問のできた彼女は、親類のツテを頼ってワイスという在野の魔術師に弟子入りしたが、『驚異のルームイミテーター』事件により、その師匠すら失う。その時の冒険で得た金でルーザッタの「賢者の門」に学び、苦学生として励んだのち、「賢者の門」のエージェントとなる。
 彼女がバジリスク殺しの戦士と親密な関係にあることは一部で有名だが、男女の関係ではなく親子のような関係であるというのが定説である。


主なスキル

言語/共通語 9LV
言語/ルーン 10LV

接近戦 7LV(特化:回避)
精神魔法 10LV(特化:精神)

知識/一般 7LV
知識/裏社会 7LV
知識/伝承 7LV
鑑定 7LV


ティクス

人間・男 24歳
身長174cm 体重66kg 右利き

総合LV:5

IQ:5 DX:5 ST:6 WP:6 VT:5
HP:17/29/39

 貧民街に生まれ育ち、魔術師を志すも、金銭的な壁と才能の壁の前に断念。その後、盗みなどを生業としながら荒んだ生活を送っていたが、あるとき盗みに入った神官の家でドジを踏み、その際に神官から与えられた赦しと施しに感銘を受け、信仰に目覚める。
 その後様々な冒険を経て魔術師クリスと出逢い、猛烈なラブアタックの末に親密な間柄に。彼女の指導で魔術師としての修業を再開するとともに、「賢者の門」で重要なポストにある彼女を護衛する「守護者」としての任に当たっている。
 もと盗賊だったために、盗賊ギルドにも多少顔がきく。


主なスキル

言語/共通語 8LV
言語/エルフ語 6LV
言語/ルーン 7LV

接近戦 7LV(特化:剣、楯、回避)
精神魔法 7LV(特化:知覚)
聖導 9LV

知識/裏社会 7LV
知識/罠 9LV
開錠 8LV
忍び歩き 8LV
捜索 9LV
罠操作 9LV
聞き耳 6LV
鑑定 6LV
信仰 9LV


盗賊ギルド「双頭の白蛇」

 「双頭の白蛇」は、ルーザッタの旧市街に本部を持つ盗賊ギルドである。最近になってギルド長が代わり、前ギルド長である盗賊王「黄金の指持つスバスタ」が「双頭の白蛇」と名づけた。新しいギルド長であるバロンとその娘ロップイヤーを喩えたものであると同時に、ルーザッタの「二重城壁」のイメージも重ねているらしい。
 ギルドの紋章は、大小の白蛇が二重の円を描いているもの。描かれた2匹の蛇は微妙に重なっており、ふたつの頭を持つ1匹の蛇にも見える意匠になっている。
 旧市街や新市街はもちろん、農耕地にまで拠点となる隠れ家が点在している。新市街と農耕地にひとつずつ設けられた重要拠点は、旧市街の本部と専用の地下通路によって繋がっていると言われている。

バロン

人間・男 41歳
身長178cm 体重85kg 右利き

総合LV:6

IQ:5 DX:6 ST:6 WP:4 VT:6
HP:18/26/38

 ルーザッタの盗賊ギルドの長。商船を装った大型の私船を所有している。もとは流れの戦士であったが、ある森のエルフから預けられたエルフの幼女を連れてルーザッタの盗賊ギルドに身を寄せた。
 重度のエルフフェチとして知られ、常に数人のエルフやハーフエルフの女性を伴って行動している。しかし、それは彼が世をたばかるための姿ではないか、という噂もある。
 白く輝く謎の剣を保持するなど、とにかく不思議の多い人物である。


主なスキル

言語/共通語 8LV

接近戦 11LV(特化:剣、回避、棒状武器、盾)

知識/一般 7LV
知識/裏社会 10LV
知識/上流社会 8LV
知識/モンスター 6LV
知識/野外活動 8LV
知識/罠 6LV
忍び歩き 8LV
情報 8LV
捜索 6LV
ロープワーク 9LV
第六感 8LV
遠見 6LV
乗馬 9LV(特化:馬)
水泳 10LV
ボート 8LV
航海術 11LV
信仰 6LV


ロップイヤー

エルフ・女 16歳
身長150cm 体重39kg 右利き

総合LV:5

IQ:6 DX:6 ST:3 WP:6 VT:5
HP:11/23/33

 盗賊ギルドの幹部。
 10年ほど前に焼失したエルフ支族「オーキッド」の末子。支族の森で3歳まで両親とともに暮らしたが、支族の宝を狙う闇エルフの襲撃に遭い森と両親を失う。ロップの最も古い記憶は、焼かれる森と人間の戦士(バロン)に自分を託す母の顔であるという。
 バロンはルーザッタに流れ着き、ギルドの用心棒として働きながらロップを育てた。盗賊たちの中で明るく勝気に育ったロップだが、人間たちとの生活では心の空洞を埋めきることはできていない(それが耳に表れ、垂れてしまっている)。バロンを父と認めつつ、本当は他人で他種族であるという事実がロップに重くのしかかっている。


主なスキル

言語/共通語 9LV
言語/エルフ語 7LV
言語/精霊語 11LV

接近戦 9LV(特化:鎖付武器、回避)
弓術 8LV(特化:弓)
召喚魔法 11LV

知識/裏社会 7LV
知識/罠 7LV
知識/野外活動 7LV
開錠 7LV
忍び歩き 9LV
潜伏 9LV
罠操作 7LV
痕跡追跡 8LV
聞き耳 8LV
登攀 8LV
アクロバット 8LV


ナシアン

ハーフエルフ・女 24歳
身長160cm 体重42kg 右利き

総合LV:4

IQ:6 DX:7 ST:3 WP:4 VT:3
HP:9/17/23

 ロップイヤーと並ぶ、ギルドの幹部。
 バロンが身を寄せた盗賊ギルドで、パロンの「娘」としてロップイヤーとともに姉妹のように育てられた。精神的には人間だが肉体的にはハーフエルフであるナシアンと、精神的には人間だが肉体的にはエルフであるロップイヤーとは、似ている部分が少なからずあるのかもしれない。
 金遣いが荒いのか、いつもオケラに近い状態でプラプラしている。


主なスキル

言語/共通語 9LV
言語/エルフ語 7LV
言語/ルーン 7LV

接近戦 10LV(特化:剣、回避)
精神魔法 7LV(特化:四元素)

知識/裏社会 7LV
知識/罠 10LV
開錠 10LV
忍び歩き 9LV
捜索 10LV
罠操作 10LV
聞き耳 9LV
鑑定 7LV


フィールズ施療院/フィールズ孤児院

 新市街地にあるレンガ造りの建物で、通りに面してふたつの入り口がある。片方が施療院であり、片方が孤児院となっているが、それぞれは建物の中では繋がっていて、相互に行き来が可能である。
 孤児院では、身寄りのない子どもたちを受け入れては教育を施し、自立していくための力を身につけられるように計っている。人数には変動があるが、徐々に増加傾向にあり、現在では30人前後の孤児たちが生活している。15、6歳になれば院を出ることが慣例となっているが、院内の治療師や教師、料理人として院に留まる者もいる。また、院を出た子どもたちの多くが、自立して生活をする傍ら、自分たちの生活を切り詰めて院に寄付や仕送りなどを続けている。
 施療院は、貧困層を看ることがほとんどで、ほとんど儲かっていない。

ソフィア・フィールズ

人間・女 41歳
身長155cm 体重42kg 右利き
総合LV:4

IQ:6 DX:5 ST:3 WP:6 VT:5
HP:11/23/33

 リュー・リュー神官で、司祭級のキャリアがあるにもかかわらず、在野での奉仕という人生を選んだ。施療院と孤児院の両方の院長を兼ねており、非常に多忙な生活を送っている。
 その激務にもかかわらず、生来の楽天性とのんびりした気質のおかげか、くたびれた印象を感じさせない。清潔感のある美しさは「若かりし日とさほど変わりない」と、もっぱらの評判である。


主なスキル

言語/共通語 10LV

接近戦 1LV(特化:回避)
聖導 10LV

知識/一般 9LV
知識/裏社会 7LV
知識/上流社会 7LV
知識/モンスター 7LV
知識/薬物 9LV
治療 9LV
情報 7LV
乗馬 6LV(特化:馬)
信仰 12LV
味覚 8LV
調理7LV
歌唱 7LV
楽器/ライアー 7LV


くろがねの町 アイアンコール

1.概要

 ブラック・ロッドを削って興されたこの町は、ジャヤ・ブュノというドワーフが王との盟約に従って統治している。
 人口の大半は人間だが、その比率は一般的な都市に比べると小さい。代わりにドワーフやスルスの人口比率が際立って高く、エルフやミゼットの住民は極めて少ない。
 この盟約に則り、毎年大量の鉄製品が王に献上されるが、王国への忠誠度は低いと噂されている。そもそも盟約を交わしたのは先代の王であり、現王との関係は疎遠で、ただ鉄を送る側と送られる側という関係になっている。町の有力者の中には独立を主張する一派も存在しており、ジャヤが領主の座を降りたときの動向が危惧されている。

 山を削って作られたその町並みは、強固な外壁によって守られている。石で造られた外壁には、リト神やその従属神、そして領主であるジャヤの像など多数の像が彫られている。中でも、門の中央にある鉄製のリト像は高さ18mもあり、町を訪れる者を驚かせる。ジャヤの片腕と呼ばれたドワーフの名工ドラドムの作品なのだが、ドラドムは鉱山区の落盤事故で故人となっている。
 外壁によって取り巻かれた町の内部は、三層構造になっている。下段が鉱山で取れた鉱物を加工するための「加工区」、中段が「居住区」、上段が「領主の城」およびその背後の「鉱山区」である。

2.領主の城

 領主の城は、鉄製の部品を随所に使った黒い立派な城である。一番下の加工区と城の背後にある鉱山区とは、巨大な鉄橋によって結ばれており、そこを大型のトロッコが走る。鉱山区で取れた鉱石を運ぶために作られたもので、居住区の上も通っているので鉱山区や加工区で働く者の交通手段としても利用されている。
 ドワーフの領主ジャヤには養子がいる。王都の貴族の次男で名はガデューク。彼はアイアンコールの戦士団「黒鉄の獅子」の隊長で次期の領主と言われている男だが、彼には黒い噂が絶えない。ドワーフの養子になどなりたくはなかった彼は、その心の隙をある降魔術師に突かれてしまったと言われている。

ジャヤ・ブュノ

ドワーフ・男 92歳
身長134cm 体重72kg 右利き

総合LV:6

IQ:6 DX:6 ST:6 WP:4 VT:5
HP:17/25/35

 ドワーフのアイアンコール領主。前マステルルザ王との盟約でアイアンコールを治めている。引きずるほどの長い髭を束ね首にまいて歩く姿は、領主としての貫禄十分である。
 領主であると同時に芸術家であり、世に数多くの作品を排出している。彼の作品を入手できれば、ちょっとした財産といえるだろう。養子であるガデュークにはあまり関心を示していないという噂がある。


主なスキル

ドワーフ語 9LV
共通語 9LV
スルス語 7LV

接近戦 10LV(特化:斧、打撃武器、回避)
武器投げ 10LV(特化:斧)

知識/一般 10LV
知識/裏社会 9LV
知識/上流社会 10LV
知識/伝承 9LV
知識/モンスター 8LV
暗視順応 10LV
鋭敏触覚 9LV
ロープワーク 7LV
鑑定 11LV
細工/石 7LV
細工/鉄 11LV
細工/銀 8LV
細工/金 9LV
描画 8LV
詩文 10LV
信仰 7LV


ガデューク

人間・男 35歳
身長176cm 体重78s 右利き

総合LV:4

IQ:4 DX:5 ST:6 WP:4 VT:5
HP:17/25/35

 マステルルザ王国の有力貴族、リッジレー家の次男として生まれる。家督を継ぐことがなかったので、アイアンコール領主ジャヤのもとに養子として送られた。アイアンコールの次期領主候補である。
 アイアンコールの戦士団「黒鉄の獅子」の隊長として収まっているが、実力が伴っているとは言いがたい。そのうえ生来の性格が粗野で乱暴で、降魔術に手を染めているという噂まで囁かれている。


主なスキル

共通語 7LV

接近戦 7LV(特化:剣、回避、盾)
弓術 7LV(特化:弓)

知識/一般 5LV
知識/上流社会 8LV
知識/伝承 7LV
乗馬 10LV(特化:馬)
馬車操縦 8LV
捜索 5LV
味覚 10LV
舞踏 10LV


ラルーソ・ルソ

人間・男 32歳
身長165cm 体重58kg 右利き

総合LV:5

IQ:6 DX:4 ST:4 WP:6 VT:5
HP:13/25/35

 ガデュークに取り入っている降魔術師。言葉巧みに彼に悪魔の存在を信じ込ませ、資金を引き出しては、ある教団に提供している。
 実は、ラルーソの降魔術は贋物であり、そのため、悪魔の召還に成功するのはいつもガデュークの留守中である。


主なスキル

共通語 9LV
ドワーフ語 7LV
スルス語 7LV
言語/ルーン 10LV

接近戦 5LV(特化:回避)
精神魔法 9LV(特化:精神)

知識/一般 9LV
知識/上流社会 9LV
知識/裏社会 9LV
知識/伝承 9LV
知識/モンスター 9LV
知識/薬物 8LV
鑑定 9LV
蠱惑 9LV
情報 9LV
捜索 8LV
読唇 9LV
腹話術 8LV
信仰 9LV


3.トロッコ・レース

 鉱山区は二区画に分かれており、さらに一区画が四つに分かれた区画になっている。合計で八つの区画があるわけだが、それぞれに担当する組織があり競うように仕事をしている。

 これら八つの区画は、鉱石の出かたが違うため以前から争いが耐えなかった。ジャヤが領主になってからは、ある共通の勝負方法で担当区を決めることにしている。それが新年の「トロッコレース」である。
 居住区には毎年新年しか使わないレール敷いてあり、そこがレースの舞台となる。新年のトロッコレースは、アイアンコールで一番の祭事であり、年を追うごとに派手さを増している。他の町からも見物客が訪れ、外貨を稼ごうとたくさんの市も立つ。

 レースは日に一度で、三日間かけて行われる。
 初日と二日目には、区画争いに影響しない子どもたちの「グリーンレース」と女たちの「クリムゾン・レース」が、それぞれお祭りムードの中で行なわれる。
 しかし、最終日に行なわれる「ブラック・レース」では、各組織とも一年の命運を屈強な男たちに託す。参加者・見物人ともにヒートアップは必至であり、毎年数人の怪我人が出るという。

4.商業施設

裏路地亭

 居住区にある安酒場で、荒くれ者が集まる。一階が酒場兼食堂、二階が宿泊用のスペースになっている。
 けして趣味が良いとは言えないこの店では、毎日のように乱闘騒ぎがあるが、店主は止めようともしない。ただ喧嘩で壊れた備品の代金は、しっかり多めに取るらしい。実はこの店主、もとは盗賊ギルドの人間で今も裏社会とつながりがある為、決して侮れない存在なのである。

 食事:6CP前後
 酒:3CP〜6CP程度
 一泊:50CP
 一泊二食付き:60CP

5.特殊な施設

「賢者の門」アイアンコール支部

 「賢者の門」は、住宅区に存在する。ただし、ルーザッタの「賢者の門」よりも規模が小さい。そのため、この町に住む魔術師の半分も把握していない現状にある。その上、盗賊ギルド「鮮血と鎖」が非協力的であるため、「賢者の門」はその機能をかなり束縛されている。
 領主ジャヤは、「賢者の門」には協力的ではあるが、「鮮血と鎖」の力も侮れないためにバランスをとりかねている。

オリーヴ・ミション

人間・女 29歳
身長173cm 体重52kg 左利き

総合LV:5

IQ:7 DX:5 ST:3 WP:6 VT:4
HP:10/22/30

 アイアンコールの「賢者の門」における支部長である。前任の支部長が突然死に至り、代理として支部長に就任。若いが優秀な彼女は、前任者の死に疑問を持っており独自にこれを捜査している。
 アイアンコールの「賢者の門」は本部に比べて規模が小さく、人手も足りない。当然ながら彼女も暇を持て余しているわけではないが、それでも捜査を続けるのは、前任の支部長が彼女の師匠であり、夫であったからだ。歳の離れた夫妻であったせいか子はいない。


主なスキル

共通語 10LV
言語/ルーン 12LV

接近戦 7LV(特化:回避、棒状武器、細剣)
精神魔法 12LV(特化:魔力付与)

知識/一般 10LV
知識/裏社会 8LV
知識/伝承 8LV
知識/モンスター 10LV
知識/植物 9LV
知識/薬物 9LV
治療 8LV
鑑定 8LV
情報 8LV
味覚 8LV
調理 8LV


盗賊ギルド「鮮血と鎖」

 盗賊ギルド「鮮血と鎖」は加工区にあり、とある鍛冶屋を隠れ蓑にしているが、そこで鉄を鍛えている若い衆はギルドの構成員である。アイアンコールの盗賊ギルドは、領主や「黒鉄の獅子」に匹敵しうる勢力を持つと言われている。
 ギルドとしての性格は、掟を重視し、余所者を嫌う。構成員の間には絶対の上下関係があり、その頂点に立つ者が、ギルドマスターのハインツである。ルーザッタの盗賊ギルドとの関係は少々悪い。

ハインツ

人間・男 48歳
身長178cm 体重72kg 右利き

総合LV:6

IQ:6 DX:6 ST:5 WP:6 VT:5
HP:15/27/37

 泣く子も黙るアイアンコールの盗賊ギルド「鮮血と鎖」のギルドマスター。狡猾で獰猛な男だが、部下は大事にするので信頼は厚い。反面、敵や裏切り者には容赦がないため、彼に捕まった者で生き延びたと言う話は聞かない。
 ハインツの性格そのものが「鮮血と鎖」の組織としての性格を決めていると言っても過言ではない。他の構成員達もハインツにかなりの影響を受けており、その士気の高さは「黒鉄の獅子」にも匹敵するだろう。
 領主ジャヤには一目置いているが、出し抜ける確信があればハインツは行動に移ると思われる。


主なスキル

共通語 9LV
ドワーフ語 7LV

接近戦 10LV(特化:回避、刀剣、細剣)
武器投げ 9LV(特化:細剣)
精神魔法 12LV(特化:魔力付与)

知識/一般 10LV
知識/上流社会 8LV
知識/裏社会 10LV
知識/モンスター 8LV
知識/薬物 9LV
知識/罠 10LV
鑑定 10LV
情報 11LV
アクロバット 8LV
登攀 8LV
乗馬 7LV(特化:馬)
開錠 9LV
忍び歩き 8LV
すり 8LV
潜伏 9LV
捜索 8LV
賭博 7LV
罠操作 9LV
聞き耳 9LV
第六感 8LV


港町スタリオン

1.概要

 王国の南端に位置する主要都市のひとつで、王国最大の港町。周辺の農村・漁村などの集落の統括も担っている。

 町は、ブラックキール山脈から流れる大河の支流であるルコン川によって、その両岸の区域に分けられており、南方のピオカ諸島や他の港町、ルコン川上流などとの交易や近海漁業で潤っている。
 特産品はピオカ諸島からもたらされる宝石や宝飾品と、豊富な海の幸である。特に、淡白で上品な味わいを持つ白身の近海魚「スタリオンフィッシュ」は、スタリオンの人間をして「コレを食べないのは、スタリオンに来た値打ちの半分もない」というセリフが口癖になっているほどである。この口癖はさすがにいささか誇張が過ぎるのだが、このようにスタリオンの人間が自分たちの土地やその特産品を感情豊かに誇る性格については、「スタリオン気質」という言葉でよく知られている。

 この町を治める領主は、冷静非情で有名なキスバルト・ケーニイッヒ伯爵。「ルーザッタ最大の港町の領主」という、非常に旨味のあるポストに就きたがる者は多い。また、様々な「財」が集まるこの町では、一攫千金を夢見る野心的な人間が多く集まるがゆえに大小のトラブルが耐えず、領主としての立居振舞の如何によっては簡単に失脚する可能性もある。
 そのような町で、長年にわたって領主を務めているキスバルト伯の才覚は、疑いようのないものと言えよう。

2.ルコン川

 ルルザ川の支流。さほど大きな川ではないが、マステルルザ王国の中心部とスタリオンとを結ぶ水路として重用されている。
 川は町の北西部から南東部へと流れ、シーホース湾から海へと繋がっている。北西の水門では、北から来る船をチェックしている。また、夜間には水門が完全に閉ざされ、町への出入りができなくなる。これらの理由で足止めを食らう船舶のために、水門の外には、船を停泊させるための桟橋がいくつも用意されている。

 スタリオンを北西から南東にかけて流れるその流れは、地理的に町を分断しただけではなく、同時にその両岸の性質をも分化させた。
 川の北岸部と南岸部とを繋ぐ橋は全部で三本ある(上流から順に「北橋」「中橋」「南橋」と呼ばれている)が、そのそれぞれに「橋番」と呼ばれる衛兵と彼らのための詰所が設けられている。彼らの仕事は北岸部に入る者のチェックである。

ルコン川北岸部(上流区域)

 川の北岸部は地形的に南岸部よりも高台となっている。外周を高い城壁で囲み、海に面した最南部には軍船や公用船などが利用する専用の港が築いてある。
 ここには、領主や貴族・大商人といった町の実力者たちの住居が多くあり、一般市民であってもかなり裕福な暮らし向きの者ばかりが住まうので、「上流区域」と呼ばれている。川の上流は北西部であるから、地理的な意味で上流区域と呼ぶには無理がある。そこに住まう人々の生活を鑑みて、川との繋がりが深い町の人々がこのような言葉を当てて呼び習わしたものだろう。
 この区域には大きなリト神殿があり、特に海洋での安全を祈願する人々の信仰を集めている。

キスバルト・ケーニイッヒ

人間・男 45歳
身長179cm 体重67kg 両利き

総合LV:5

IQ:7 DX:6 ST:5 WP:5 VT:4
HP:14/24/32

 スタリオンの領主。引き締まった痩身で、剃刀のように研ぎ澄まされた印象を与える壮年の美男。政治能力ばかりでなく、戦士としてのスキルも高いが、彼自身は己が知性のほうに重きを置いているらしい。
 「自らの益にならずば親をも捨てる」とまで言われるほどの実利主義者で、相手の人格などよりも能力を重視し、何らかの問題を抱えていようともそれ以上に優先して良い利益をもたらす人間は重用する。もちろん、失脚の種にならない程度には秩序も重んじるが、非人間的なまでに計算された割り切りや、無機的な思考を嫌う者は多い。
 彼はスタリオンの繁栄が自身の利益に直結していることを理解しており、そのための努力は惜しまない。近年のスタリオンの発展におけるキスバルト伯の功績は疑いようがない。


主なスキル

言語/共通語 10LV

接近戦 10LV(特化:剣、回避)

知識/一般 11LV
知識/裏社会 11LV
知識/上流社会 11LV
知識/薬物 11LV
乗馬 9LV(特化:馬)
忍び歩き 8LV
鑑定 9LV
捜索 8LV
読唇 8LV
聞き耳 8LV
鋭敏触覚 8LV
第六感 9LV


レトリオ・サルデーフィン

人間・男 62歳
身長172cm 体重50kg 右利き

総合LV:3

IQ:6 DX:5 ST:4 WP:6 VT:5
HP:13/25/35

 痩せた神経質そうな老人。スタリオンで一番の大商人で、「海商王」と呼ばれている。裸一貫から一代で財を成したスタリオン・ドリームの体現者。キスバルトとは、そのときどきの利害を秤にかけては対立と協力を繰り返してきた好敵手である。
 商売の面では、伸し上がるために犯罪めいた際どい真似もそれなりにしてきたが、14年前に後妻との間に娘メアリーが生まれてからは、ずいぶん性格が丸くなった。今やすっかり「娘のためなら何でもできちゃう親馬鹿」である。
 「海賊亭」の店主ロバート・クックとは旧知の親友で、彼の開店の際には惜しむことなく最大限の援助をしたという。
 ちなみに、娘のメアリーは美人で有名だが、レトリオの甘やかしによって鼻持ちならないワガママ娘としても名を馳せている。10歳近くも年上のサルデーフィン家の執事クローツは、いつも彼女に振り回されている。


主なスキル

言語/共通語 9LV

知識/一般 9LV
知識/裏社会 9LV
知識/上流社会 9LV
知識/薬物 9LV
知識/伝承 9LV
航海術 9LV
乗馬 6LV(特化:馬)
鑑定 9LV
馬車操作 7LV
味覚 7LV
聞き耳 7LV
第六感 7LV
鋭敏触覚 7LV


ダブロン・バスカール

人間・男 51歳
身長175cm 体重70kg 右利き

総合LV:3

IQ:5 DX:5 ST:5 WP:4 VT:5
HP:15/23/33

 中肉中背の禿頭。スタリオンのナンバー2の富豪。
 レトリオと競わせれば彼に対する牽制になると考えたキスバルトからバックアップを受けていたが、レトリオの老獪さの前に十分に期待に添えなかったため、今ではその後ろ盾も弱くなっている(この件を機に、キスバルトはレトリオとの対立を避け、協調路線へと転向したと言われている)。


主なスキル

言語/共通語 8LV

接近戦 6LV(特化:棒状武器、回避)

知識/一般 8LV
知識/上流社会 8LV
知識/動物 7LV
知識/植物 7LV
知識/伝承 8LV
乗馬 6LV(特化:馬)
鑑定 7LV
馬車操作 6LV
聞き耳 6LV


クロッカル・ビンセント

人間・男 45歳
身長180cm 体重102kg 右利き

総合LV:3

IQ:5 DX:6 ST:5 WP:5 VT:6
HP:16/26/38

 楽天的な気性の、太った男。長身。
 ピオカ諸島産の宝石を加工する職人から始めて、スタリオンでも有数の宝石商に登りつめた。今では、セミリタイア状態で悠々自適の生活を送っている。


主なスキル

言語/共通語 8LV

接近戦 7LV(特化:剣、回避)

知識/一般 6LV
知識/上流社会 6LV
知識/伝承 6LV
鑑定 10LV
細工/宝石 9LV
細工/銀 8LV
細工/金 8LV
鋭敏触覚 6LV
描画 6LV


ルコン川南岸部(一般区域&下層区域)

 ルコン川南岸部の中でも北東部(ルコン川の上流域)に開けた区域は「一般区域」と呼ばれ、町の南部よりはやや高台になっている。一般市民の多くが住まう区域であり、「賢者の門」の支部が置かれている。大がかりなリト神殿はないが、宗教色の強い祠や神官が営む施療院などが、庶民の精神的救済の場として点在している。
 さらに町の南部へと下ると、地形的に低地な部分がある。その一帯は「下層区域」と呼ばれるスラム街で、盗賊ギルド「サーペントの牙」が幅を利かせている。一般区域と下層区域との明確な境界線はないが、町の人間にはそれなりに見極めがつくらしい。

3.海馬の氏族「シーホース」

 スタリオンの最南部・海岸沿いの一帯には、古びた二階建ての建物が立ち並ぶ。これらの建物は、二階が簡素な居住空間、一階が大型ボートの船着場となっている。
 ここに住まうのは、はるか昔からこの土地に住んでいた民の末裔である。正確にはスタリオン住人の中にもこの古の民の末裔が少なからずいるはずだが、この土地が町として繁栄していくにつれ、徐々に町での生活へと適応していく者が増えて、現在では少数の者だけが昔ながらの生活を守っている。
 シーホースは、野外で肉体を酷使する時間が長いため、濃い褐色に焼けた肌と逞しい体格を誇る。男たちはボートの扱いが非常に巧みで、彼らほど町を縦横に走る水路を自由に行き来できる漕ぎ手はいない。そのスキルを買われて、彼らは街中での物的流通を担う「届け屋」としても活躍する。

 彼らの先祖は、はるか昔この一帯がまだ小さな集落だった頃、傷ついた海馬(海原をかけめぐると言われる不思議な馬)を助けたことがきっかけで、海馬たちと固く友愛の契りを交わしたとされる。海馬たちは、外洋から彼ら一族が住まう湾へと魚を追い込んで、湾内での大漁を約束してくれたという。
 この伝承から、彼らの一族は「シーホース・シブ(海馬の氏族)」と呼ばれるようになった。現在では、彼ら自身はより海馬との緊密な繋がりを表す意味で、そして一族の外の者はただ呼びやすいからという理由で、彼ら一族のことを単に「シーホース」と呼ぶことが多い。また、彼らが住まうこの一帯は「シーホース区域」と呼ばれ、そこに住まう一族はすべてシーホース姓を名乗っている。

 彼らは年に一度、漁期の初めに、近海へ魚をもたらす海馬への感謝を込めて一番上等な牝馬を海へ流す儀式を行なっている。一方で、良い仔馬をもうけるために種牡馬を大切にしており、女たちは町の外にある馬牧場で優秀な馬を生み育てている。
 こうした彼らの生活習慣などから、彼ら一族が暮らすこの土地は「スタリオン(種馬)」と呼ばれ、それが今も町の名として残っている。事実、シーホースたちが育てた馬は実用馬としても非常に評価が高く、盛りを過ぎたような牡馬でも種馬として高値で買い取られることがある。しかし、彼らは馬を金に換えたいとは思っておらず、ごくまれに気に入った相手にのみ売るなり譲るなりする程度だという。

 最近では海馬の姿を見たものはいない(スタリオンに住む若者の間には、海馬そのものを架空の存在だと考えている者もいる)が、シーホースたちはその存在を固く信じている。彼ら一族の者に対して海馬の実在を疑うような言葉を向ければ、間違いなく大喧嘩になるだろう。
 こうした自身のルーツや土地に対する強すぎる誇りや愛着、あるいは昔かたぎで強情で荒っぽいという彼らの性格は「シーホース気質」と呼ばれており、スタリオン気質のさらに上をいく「狂気」として、しばしば一族の外の人間からは揶揄の対象とされる。

ガレギア・シーホース

人間・男 52歳
身長172cm 体重87kg 左利き

総合LV:4

IQ:4 DX:6 ST:6 WP:4 VT:5
HP:17/25/35

 がっしりした体格のシーホースで、一族の長老格。白髪混じりの髪と年輪のごとく刻まれた顔のしわが、彼の風貌を味のあるものにしている。
 いわゆるシーホース気質であり、実利主義者のキスバルト伯をよく思っていないのだが、スタリオンでは伯の影響を受けずには暮らせないため、鬱屈した日々を送っている。大酒飲みで、酔うと古くからの伝承などを歌を交えて延々滔々と語り続けるので、若者からは敬遠されがちである。
 付き合いにくい人間ではあるが、仲間と認めた者は決して裏切らない。


主なスキル

言語/共通語 7LV

接近戦 9LV(特化:槍、刀剣、回避)

知識/伝承 9LV
知識/動物 9LV
アクロバット 7LV
水泳 10LV
ボート 10LV
航海術 7LV
ロープワーク 7LV
暗視順応 5LV
聞き耳 5LV
遠見 5LV
第六感 5LV
歌唱 5LV


4.商業施設

スタリオンの誉れ亭

 スラム街と一般区域との境界付近で営業している安宿。値段がリーズナブルなので、冒険者や下級船員など、少々の荒事くらいでは動じないような者たちが主に利用している。
 一階が酒場兼食堂、二階が宿泊用のスペースになっている。

 食事:6CP前後
 酒:2CP〜12CP程度
 一泊:50CP

海神の槍亭

 一般区域の一番川岸に近い通りに面し、北橋のすぐ近くに看板を出している。商人たちがよく使う高級宿である。

 食事:20CP前後
 酒:5CP〜20CP程度
 一泊:150CP
 一泊二食付き:190CP

海賊亭

 ロバート・クックという有名な料理人が開いた、小さなレストラン。味は確かで、スタリオンでも評判の店である。宿泊施設は併設されていない。
 シビアな経理で店の黒字確保に努めているのは、26歳になる彼の娘クララ。その2歳年上の夫ジェイクを加えた3人で店を切り盛りしている。ジェイクも腕は悪くない料理人であり、娘とともに立派に店を継いでくれるようにと、クックが日々厳しく教え込んでいるという。

 食事:5CP〜30CP程度
 酒:2CP〜20CP程度

ロバート・クック

人間・男 53歳
身長189cm 体重92kg 右利き

総合LV:4

IQ:5 DX:5 ST:6 WP:5 VT:6
HP:18/28/40

 伝説的な腕前の冒険料理人。左目に眼帯をしたひげ面のマッチョな大男。若いころから様々な食材や料理法を求めて旅をしてきたので、戦い方にも通じている。
 かつて貴族のお抱え料理人をしていたが主人と意見が合わず職を辞し、その後さまざまな海産物が集まるスタリオンに惚れ込み、得意の魚介料理が売り物の「海賊亭」をオープンした。店の名前と料理人という仕事にちなみ、クック姓を文字った「キャプテン・コック(コック船長)」という愛称で呼ばれている。
 義理に厚く男気溢れる性格がしばしば店の収益の妨げとなっているが、娘の手綱さばきで救われている。


主なスキル

言語/共通語 8LV

接近戦 8LV(特化:剣、回避)
弓術6LV(特化:石弓)

知識/一般 7LV
知識/動物 7LV
知識/植物 7LV
知識/野外生活 7LV
知識/薬物 6LV
知識/罠 6LV
乗馬 6LV(特化:馬)
潜伏 6LV
捜索 6LV
罠操作 6LV
第六感 6LV
味覚 14LV
調理 12LV


5.特殊な施設

「賢者の門」スタリオン支部

 スタリオンの「賢者の門」は町の一般区域にあり、主に町の魔術師の把握に注力している。しかし、旅人が多く盗賊ギルドも活発なこの町では、あまりその仕事がはかどっているとは言えないのが実情である。さらに、この町の支部長が正攻法しかできない人物であることも、それに拍車をかけている。

ソウロス・マクナシー

人間・男 52歳
身長202cm 体重113kg 右利き

総合LV:5

IQ:5 DX:3 ST:7 WP:6 VT:6
HP:20/32/44

 スタリオンにおける「賢者の門」の支部長。巨漢の魔術師で、驚異の鈍足(右足の骨折の後遺症)。どう見ても戦士向きの体格だが、魔術師の家柄に生まれたため不向きな術者の道を歩む。魔術師であることに誇りを持っており、精神魔法と知識系以外の技能を軽んじ、侮る傾向がある。
 天才的な閃きは持たないが、コツコツ勉強を重ねる努力家。紙束と羽根ペンを肌身離さず携帯しており、常に何やら書き付けている病的なメモ魔として知られる。自分の努力の量に強い自信を持っているため、尊大なのが珠に瑕である。
 実直さと家柄を買われて今の地位についたが、海千山千のスタリオンの曲者どもに対抗するには役者不足ではないかと陰口を叩かれることも多い。しかし、当の本人は周囲の雑音など意に介さず、焦らず一歩一歩着実に職務に当たっている。


主なスキル

言語/共通語 8LV
言語/ルーン 10LV

精神魔法 10LV(特化:四元素、知覚)

知識/一般 9LV
知識/モンスター 9LV
知識/動物 8LV
知識/植物 8LV
知識/薬物 8LV
知識/伝承 10LV
鑑定 9LV
捜索 6LV
聞き耳 6LV
第六感 6LV


ヒョウン・ジノーヤ

人間・男 37歳
身長185cm 体重54kg 右利き

総合LV:4

IQ:5 DX:6 ST:6 WP:4 VT:5
HP:17/25/35

 ソウロスの「守護者」で腕利きの剣士。バサバサの髪で青白い幽鬼のような顔、長身で栄養失調寸前の痩せた体、両手持ちの黒い大剣を杖のようについているその姿。それはどこから見ても死にぞこないの半病人である。しかし、彼は全くの健康体であり、どういうわけか病弱を装い、弱いふりをしている。
 厭世的な皮肉屋で、死ぬまでの退屈しのぎに人生を生きているような男。不器用で不可思議な生き方をするソウロスを見て興味を抱いてからの腐れ縁で、何の因果か彼の「守護者」となった。二人は表面上はまったく仲良く見えず、むしろ反発しているが、いざ二人で行動する時は、抜群に息の合った動きを見せる。


主なスキル

言語/共通語 8LV
接近戦 10LV(特化:剣、回避)
弓術 9LV(特化:弓)

知識/一般 7LV
知識/モンスター 6LV
知識/裏社会 8LV
知識/薬物 7LV
アクロバット 9LV
乗馬 8LV
馬車操縦 6LV
忍び歩き 9LV
尾行 8LV
読唇 7LV
賭博 8LV
暗視順応 6LV
聞き耳 7LV
第六感 7LV


盗賊ギルド「サーペントの牙」

 スタリオンの盗賊ギルド。経済の要地であるこの町には、ここに集まる富を狙った、多くの犯罪者が集まる。それらを統轄するために、半ば自然発生的に生まれたのがこのギルドだ。
 彼らは通常の盗賊ギルドの業務の他に、密貿易や港や川を使った逃がし屋など、港町の盗賊らしい犯罪を得意とする。水路を悪用する事から、シーホースとは険悪な関係である。領主とも元々は折り合いが悪かったのだが、近年はギルド幹部のキーツが、領主との協調をひそかに図っている為、以前のように派手な対立は行われていない。

ザッハル

人間・男 56歳
身長184cm 体重84kg 左利き

総合LV:6

IQ:5 DX:6 ST:6 WP:3 VT:5
HP:17/23/33

 「サーペントの牙」のギルドマスター。目が小さく落ち窪んでおり、凶暴な顔立ち。その風貌や振舞は、どこか張り詰めたような緊迫した印象を抱かせる。
 若いころは荒事を得意とした武闘派で、血染めの刃で敵を切り刻むことで今の地位に昇りつめた。その狂暴さから「ウツボのザッハル」という異名を持つ。
 しかし老いて勢いと暴力がかつての威力を失いはじめた今は、若き日の非道の記憶と報復の疑心に怯える日々を送っており、ただ亡き親友の息子のみを信じ、彼を腹心の部下として重用している。


主なスキル

言語/共通語 8LV

接近戦 10LV(特化:剣、回避)
武器投げ 9LV(特化:斧)

知識/一般 6LV
知識/裏社会 8LV
知識/モンスター 6LV
知識/薬物 6LV
知識/罠 6LV
アクロバット 7LV
水泳 7LV
ボート 7LV
登はん 7LV
鑑定 7LV
開錠 6LV
忍び歩き 7LV
潜伏 7LV
捜索 6LV
縄抜け 7LV
ロープワーク 7LV
尾行 6LV
罠操作 7LV
暗視順応 6LV
聞き耳 6LV
第六感 6LV


キーツ・ブランツェル

人間・男 31歳
身長173cm 体重56kg 右利き

総合LV:4

IQ:5 DX:6 ST:5 WP:5 VT:4
HP:14/24/32

 「サーペントの牙」の若き幹部。すらりとした痩身の男。細い目をさらに細めて、常に笑顔を絶やさない。
 ギルド長のザッハルの亡き親友の息子であり、ザッハルからの信用も厚い。ザッハルへの進言・助言を通して、自身の考えを巧みに通す。実質的なギルドの舵取りはキーツが担っている、と言っても過言ではない。猜疑に駆られたザッハルの暴走をなだめることでギルドの構成員を守ることも多く、人望の面でもザッハルを超えていると思われる。
 常にキスバルト伯と連携を取り、ギルドと町との適度な距離感を保てるように手配している。


主なスキル

言語/共通語 8LV

接近戦 8LV(特化:細剣、回避)

知識/一般 7LV
知識/裏社会 7LV
知識/上流社会 6LV
知識/モンスター 6LV
知識/薬物 6LV
知識/罠 7LV
アクロバット 7LV
水泳 7LV
ボート 7LV
登はん 7LV
鑑定 6LV
開錠 6LV
痕跡追跡 6LV
忍び歩き 7LV
すり 7LV
潜伏 7LV
捜索 6LV
縄抜け 7LV
ロープワーク 7LV
罠操作 7LV
暗視順応 6LV
聞き耳 6LV
第六感 6LV


 シーホース湾に沿って展開されている港には、船舶のための停泊所はもちろん、良質の船舶を建造している造船所や積荷を保管しておくための倉庫区などがある。
 倉庫区では、密輸などの闇取引が行なわれたり、賭け試合などのギャンブルに興じる賭場が開かれることがあるという。

城砦都市ステロス

1.概要

 ブラックキール島を南北に分けるように広がる内海の東、広大な「魔獣の砂漠」の南端に位置する王国最北端の城砦都市。砂漠の蛮族達に対する防備として王国初期に築かれて以来、国境を守る防衛拠点として重要視されてきた。

 この地は、バジリスク家によって代々治められている。マステルルザ王国においては、このような世襲領主はさほど多くない。このバジリスク家が例外的に代々の世襲を認められているのは、一族の祖である武人ステロイドが砂漠の民と交わした「血の盟約」による。
 バジリスク家の者は、おしなべて土地に対する愛着と民に対する強い責任感を抱いている。一族の者には巨漢が多く、男子であれば2mを超える者も少なくないため、190cmに満たない者は「小柄」とされる。また、一族の男子は戦士として高い能力を持つことを期待される。これらは、一族の祖ステロイドの姿形や能力に照らして見られるがゆえであり、しばしば一族男子にとっては大きなプレッシャーとなっている。

 盟約の力に守られた代々の領主に酷い失政がなかったこともあり、最近では極めて安定した状態が続いている。都市としても、軍事拠点という性格は薄れつつあり、マステルルザ王国、砂漠の民、そして北の辺境からの珍しい物品や文化が交錯する土地として、人が集まる賑やかな都市に成長しつつある。
 元は高い城壁に囲まれた城砦部だけが砦のすべてだったが、城壁外部に簡易の小屋や天幕が立ち並ぶようになり、砦の周辺は城下町的な発展の最中にある。冒険者や珍しい商品を求める商人たちが、砂漠探検や北方への旅の起点として立ち寄る町でもある。

2.魔獣の砂漠

 砦の北側に広がる広大な砂漠は「魔獣の砂漠」と呼ばれ、そこには大小様々な支族が住んでいる。彼ら砂漠の部族を総称して「砂漠の民」と呼んでいるが、保守的な者は今も彼らを「蛮族」と呼ぶことがある。これまでに争いの歴史はあったものの、今のところ王国と砂漠の民は概ね平穏な関係にある。
 砂漠にはリザードマンやジャイアントリザードをはじめとする危険な生き物たちが、数多く棲息している。中でも最も恐れられているのは、伝説の魔獣「グレイン・バジリスク」である。この魔獣のグレイン種はステロイドによる討伐以来その姿を見ないが、砂漠の民の間では今も「恐怖」の象徴とされている。

 砂漠の民は赤銅色に焼けた肌をしており、マステルルザ王国の人に比べてやや小柄である。
 わずかばかりのオアシス周辺に村や小さな町を築き、砂漠の南北との交易によって生活している。厳しい自然環境で暮らしているためか、彼らの間には相互扶助の精神が浸透しており、砂漠で困っている者を助けては客人として迎えもてなす習慣があるという。

 勇敢で仲間想いの人種として知られる彼らだが、中で最も尊敬されるのが「砂蛇狩人」と呼ばれる者たちである。
 砂蛇とは、砂漠の地中を自在に動き回る大型のモンスターで、蛇という名前がついているが実際は巨大な長虫に似た生き物である。肉は食用に適しており、皮は革鎧や天幕などの材料に使える。また、牙は装飾品などの原料として利用される。大型の成獣を一匹でも仕留めると、村の経済が一気に好転すると言われるほど砂漠の民の間でもてはやされている。
 砂蛇狩人はチームを組み、騎乗用ラクダや特殊な槍などを駆使して、村のために命懸けで砂蛇を狩る。その勇ましさや経済に与えるインパクトから、砂漠の民の子どもたちが憧れる職業の筆頭とされる。

ステロスの前身「テルナ砦」

 リトとダルクが激しく争っていた太古の時代、この地は肥沃であった。ところがあるとき、ダルクの下僕たるグレイン種のバジリスクが棲みつき、その身から発される毒気によって土地が穢れはじめた。人々は何度も討伐隊を送っては数多くの屍を重ね、ついには戦神エグベルが魔獣を打ち倒した。
 しかし、その際に魔獣の穢れた血が大地に広く深く染み、この一帯は不毛な砂漠と化した。そして、何らかの理由で劣悪な環境での生活を選ぶしかなかった者たちだけがこの地に逃げ込むようにして集まり、やがて「砂漠の蛮族」として暮らすようになった。

 時は流れ、マステルルザ王国が建国されると、砂漠の蛮族との間に軍事衝突が起こった。この地に拠点を持たないために苦戦を強いられた王国は、クェイ・ロイドという名の将を派遣した。彼は、二本のモーニングスターを振るうことから「鉄球王」と呼ばれた豪傑だが、その真価は守城戦と築城の巧みさにあった。かくして、砂漠の蛮族の猛攻に耐えながらの建造であったかにもかかわらず、彼の獅子奮迅の働きと多くの兵士たちの犠牲によってわずか数週の内に「テルナ砦」が完成した(ちなみに、クェイ・ロイドは生来の無骨な風貌によらず洒落者の女たらしとしても有名で、関係のあった女性の名前を自らが手がけた城に冠する悪癖があったという)。

血の盟約

 テルナ砦の完成によって王国と砂漠の蛮族との関係は膠着状態に入ったころ、砂漠に再び魔獣バジリスクが現れた。「太古に滅ぼされた魔獣の血から魔獣が湧き出でたもの」とも、「太古の魔獣の復活過程で力を取り戻す前のもの」とも言われているが、真相は定かではない。いずれにせよ、グレイン種ほどではないものの魔獣の恐るべき石化の魔力の前には、砂漠の蛮族も王国もなす術なく逃げ惑うばかりであった。
 途方に暮れていたところへ、ステロイドという名の戦士が流れ来た。彼は、砦の兵士や砂漠の蛮族の協力を得て砂漠へと挑み、見事にバジリスクを殺すことに成功した。砂漠の蛮族はこの武人をエグベルの転生もかくやと讃え、「かの者とその血に連なる者を家族として迎える」という盟約を交わした。

 永きに渡る砂漠の蛮族との戦いに疲弊していた王国は、この頃には南方の平定が完了していたこともあり、すでに砂漠以北へと侵攻するモチベーションを失っていた。
 王国にとってステロイドと「血の盟約」の存在は渡りに舟であり、彼に魔獣殺しの証としてバジリスク姓を授け、辺境伯の地位を与えるとともにこの地の領主として配した。砦の名も「ステロス砦」と改名し、以後はステロイド・バジリスクに端を発する一族の手でこの地が治められることになった。
 この領主選定より以後、「砂漠の蛮族」という表記や表現は(少なくとも公式の場では)禁じられ、「砂漠の民」という呼称が正式な表記となる。

 こうしてバジリスク家の祖となったステロイド・バジリスクだが、本人は権力を好まぬ身であった。政治的才覚も皆無であったが、優秀な文官のサポートにより大過なくシンボリックな領主としての役割を全うした。
 シャムシールを使わせると天下無双と謳われた放浪の武人で、身の丈2mを軽く超える巨漢であった。「スルスだったのではないか」という珍説まであるほどだが、その桁外れの体躯以外のすべての身体的特徴は、この説が誤りであることを証明している。
 砂漠に魔物がでたら自ら退治に出るなど側近泣かせとも言える破天荒ぶりが、ある種ほほえましい人物像として、今も土地の人々の尊敬と共感と愛情を集めているようだ。

ペチド族殲滅

 王国と砂漠の民の間に築かれた友好関係は、現在も続いているが、長い両者の歴史の中でそれを妨害する動きが皆無であったわけではない。血気盛んな若者たちを中心に小競り合い程度の争いは絶えずあったし、現在でもそれは一部で続いている。

 「血の盟約」が失われかけた最大の危機は、「ペチド族の反乱」として知られる。砂漠の有力支族のひとつで反王国色が強いペチド族が、他の部族を焚きつけたり脅すなどして砂漠の民を束ね上げ、ステロス砦への侵攻を企てたのだ。
 反乱画策の情報を得た当時の領主ルコイド・バジリスクは、直ちにほぼ全兵力を率いてペチド族の本拠に奇襲をかけ、これを殲滅した。その上で「今回の件はあくまでもペチド族の暴走」と断じて、反乱に関わらんとした支族すべてを不問に付した。
 砂漠の民はルコイドの悪魔のような冷酷さを恐れ、また神のごとき寛容さの前に心服した。この後、ルコイドは砂漠の民に対して極めて温和な政策をとり、自分と敵対する愚を文字どおり飴と鞭で悟らせたという。

 ルコイドは情報収集と分析に優れ、それらに基づく即断即決の統治に定評があった。その一方で、敵対者には容赦しないという冷酷さでも知られる。バジリスク家の男子としては小柄で、本人もコンプレックスを持っていたと噂されるが、それでも十分に恵まれた体格であったことは間違いない。事実、彼は「隻眼の槍使い」という二つ名で呼ばれる優れた武人でもあった。
 彼のペチド族殲滅は、「血の盟約」という観点からすればあまりに非人道的だという非難もある。しかし、万が一にも砂漠の民が集結すれば「血の盟約」そのものが失われ、泥沼の戦乱が再来していたであろうことは、日をみるよりも明らかである。そうした視点からは、ルコイドの決断が最小限の被害で事を収拾させる妙手であったと見る向きも多い。政治分野においては、今も興味深い波紋を投げかけるテーマとして、しばしば論じられる人物である。

3.町の構造

城砦部

 この城砦都市の中核で、最も古い建物。築城の名手、クェイ・ロイド将軍が建造した王国有数の堅牢さを誇る武骨な要塞である。一般人の出入りは許されていない。
 砦内は基本的に領主や兵士達の居住区や、兵士用の酒場や武器庫、訓練場などの軍事的な施設であり、長期の篭城も想定した構造になっている。またリト神の神殿もあり、エグベル神を強く信仰している土地の人々の精神的支柱となっている。

ロジェン・バジリスク

人間・男 55歳
身長182cm 体重80kg 右利き

総合LV:4

IQ:5 DX:4 ST:5 WP:5 VT:6
HP:16/26/38

 現ステロスの領主。常に眉間にシワを寄せた厳めしい顔の男。先祖のルコイドと同じく、バジリスク一族に似合わぬ体格を恥じている。本来は、音楽を愛する文化的な性格だが、この地の領主は強い戦士である事を求められるため、無理に豪傑風の性格を演じている。
 バジリスク家の当主として、優れた資質を持つ息子のバリードに対し、ひそかに嫉妬の念を抱いているが、その気持ちも封印している。彼の眉間の深いシワはそんな劣等感を押し隠した者の苦悩の爪痕である。


主なスキル

言語/共通語 8LV

接近戦 8LV(特化:棒状武器、刀剣、回避)

知識/一般 8LV
知識/上流社会 7LV
知識/伝承 7LV
乗馬 5LV(特化:馬、ラクダ)
鑑定 6LV
捜索 6LV
ロープワーク 6LV
聞き耳 9LV
第六感 6LV
味覚 6LV
楽器/リュート 9LV
歌唱 8LV


バリード・バジリスク

人間・男 23歳
身長201cm 体重128kg 右利き

総合LV:5

IQ:3 DX:6 ST:7 WP:6 VT:7
HP:21/33/47

 領主ロジェンの長子。強面の顔にオールバック、顎鬚を伸ばしている。思考より直感と実践を重んじるタイプ。基本的に鈍感で、彼に察しの良さなどを求めても無駄である。そんな彼でも、父親ロジェンとの間にはぎこちなさを感じている。
 バジリスク家の者らしい体格を持つ剛力無双の戦士で、一通りの武器の扱いを学んでいるが、叩き潰す感覚を求めてモーニングスターやマトックを好む。彼の「城門砕き(ゲートクラッシャ−)」は、かつて「オーガー」と呼ばれたある戦士がこれを振るい城門を叩き破ったことに由来する。
 ステロイドという英雄的祖先を誇りに思う彼は、家督を継ぐまでにバジリスクを斃すという誓いを立てていたが、最近、見事にレッサー種ながら大願成就したと噂されている。


主なスキル

言語/共通語 7LV
言語/ルーン 4LV
言語/巨人語 4LV

接近戦 11LV(特化:斧、鎖付武器、回避、剣)
弓術 7LV(特化:石弓)

知識/モンスター 7LV
知識/伝承 4LV
乗馬 9LV(特化:馬)
鑑定 7LV
痕跡追跡 5LV
ロープワーク 8LV
第六感 4LV


クレイ・オズボーン

人間・男 42歳
身長176cm 体重65kg 両利き

総合LV:5

IQ:5 DX:5 ST:6 WP:5 VT:5
HP:17/27/37

 ロジェンの副官。やせた鋭い目付きの男で、髪をオールバックで固める。この砦でも有数の戦士でレイピアの二刀流を得意とする。性格は冷静沈着。
 元冒険者であるからか政治的野心は少ない。ロジェンが唯一心を許している男であり、彼の苦悩を理解している数少ない友でもある。また、バリードの守り役でもあり、彼はバジリスク家に対し強い影響力を持っている。
 腰に様々な種(ナッツや松の実、向日葵の種など)の入った小さい革袋を付けており、いつもそれをかじっている。


主なスキル

言語/共通語 8LV

接近戦 10LV(特化:細剣、鎖付武器、回避)
弓術 8LV(特化:弓)

知識/一般 6LV
知識/モンスター 6LV
知識/裏社会 6LV
知識/野外活動 6LV
知識/薬物 6LV
アクロバット 6LV
乗馬 6LV(特化:馬、ラクダ)
登攀 6LV
治療 6LV
捜索 6LV
痕跡追跡 6LV
忍び歩き 6LV
潜伏 6LV
暗視順応 6LV
聞き耳 8LV
第六感 6LV
遠見 6LV


リードス・キシュザイン

人間・男 34歳
身長180cm 体重58kg 左利き

総合LV:3

IQ:5 DX:5 ST:6 WP:5 VT:5
HP:17/27/37

 ステロス砦の文官首席。ひょろっと背の高い痩せ型の男。長髪で細いつり目のどこかキツネを思わせる。
 冷静な皮肉屋であまり人には好かれないが、実務能力は高い。ステロスで文官をしてきた家系の生まれで、脳よりも筋肉で考えるような肉体派の人間の扱いはお手のものである。


主なスキル

言語/共通語 8LV

接近戦 6LV(特化:回避)
知識/一般 11LV
知識/上流社会 10LV
乗馬 6LV(特化:ラクダ)
読唇 6LV
聞き耳 8LV
第六感 6LV


城下部(城壁外部)

 この区域は、城砦部を中心とした歪な同心円状になっている。建物は中心部に近づくほど強固なつくりで古く、辺縁に行くほど簡素なつくりで新しいという傾向がある。
 砦の周りをぐるりと囲むような形で、ステロスを拠点に活動する商人や冒険者、それをあてこんだ宿屋や酒場などが簡易の小屋や天幕を張っている。こうした城下町的に発展した外周部を「城下部」と呼ぶ。歴代の領主たちは何度も強制撤去を試みたが、人々は粘り強くこの地に張り付いてきた。そのしぶとさに根負けした領主側がついに黙認し、今日に至る。
 砦の東西南北の大門から大通りが四方にのびており、この町の主要な交通路になっている。しかし、それ以外の道路は無計画な都市開発がたたり、入り組んだ細い路地が多い。それはこの町の者でも区域が違えば、道に迷うと言われるほどややこしい作りになっている。
 4本の大通りは城下部を4つの区域(北東区、南東区、南西区、北西区)に分けているが、住む人々の階層に大きな違いはなく、どの区域も活気はあるものの雑然とした印象である。口の悪い者などは、「ステロスには、無粋な砦と不潔なスラムしかなく、住んでいるのは軍人と乞食と蛮族ばかり。他には一切何にもない」と吐き捨てる。これはある意味よく的を射た寸評なのだが、雑然たる雰囲気から溢れるこの町の躍動的な魅力を見落としているという点において、不完全な認識と言えるだろう。

4.商業施設

戦士の休息亭

 城砦部内にある兵士用の酒場。頑固な退役軍人のオヤジが店主である。都市から軍人用娯楽施設として認定されており、補助金が出ているおかげで安価でそれなりの料理と酒が楽しめるのだが、女っ気が無く辛気臭い店の雰囲気を嫌って、城下部の店に行く兵士も多い。
 粗末な二階建ての建物で、一階が食堂兼酒場、二階が宿泊用のスペースになっている。

 食事:5CP前後
 酒:2CP〜7CP程度

魔獣の瞳亭

 城下部の北西地区にある安宿。この町有数の老舗で、領主側の撤去命令と戦いながら営業を続けて、今日に至った。胡散臭い者たちが集まる宿で、いつも喧騒に満ちている。
 魔獣の砂漠で砂漠の民にご馳走になる以外では、砂蛇の肉が食べられるのはこの店だけである。以前は王国の人間の舌に合わないと言われてきた砂蛇だが、この地を訪れた若き日のロバート・クックが調理法を編み出し、世話になっていたこの店の先代にそれを伝授した。今や砂蛇料理は店の看板メニューである。特に「砂蛇のステーキ」は人気が高い。
 この店にはもうひとつ名物がある。それが「バジリスク・アイ」というオリジナルの酒である(これがそのまま店の屋号にもなっている)。魔獣バジリスクの血を浴びて毒草になったという伝説を持つ「バジリス香草」を特殊な製法で漬けた物で、血のように赤い液体である。非常に強い酒で、通常は小さな杯でしか出してくれない。普通の酒の感覚で呑むと、たちまち魔獣の視線に打たれたようにぶっ倒れるため、この名で呼ばれるようになった。
 一階も二階も食堂兼酒場となっていて、宿泊用のスペースはない。

 食事:6CP前後
 酒:3CP〜10CP程度
 一泊:60CP
 一泊二食付き:70CP

5.特殊な施設

「賢者の門」ステロス支部

 人の出入りが増えたステロス砦にも、「賢者の門」の支部ができて久しい。
 基本的に軍人の町であるから魔術師や学者の数は少ないが、砂漠の調査など目的意識を持ってこの町にいる者が多く、質は決して低く無い。ただ、人の出入りが激しい町なので違反者の取締が難しく、「賢者の門」のメンバーを悩ませている。

ザンテ・ゴルゼルト

人間・男 39歳
身長180cm 体重59kg 右利き

総合LV:5

IQ:6 DX:5 ST:5 WP:7 VT:5
HP:15/29/39

 ステロスの「賢者の門」の支部長。長身痩躯で流れるような銀色の長髪を持つ。鋭い目つきを眼鏡の奥に垣間見せる。
 熱心なリト信者で、聖導魔法の使い手。しかし彼は、自分の本分をあくまで学者だと考えており、特にフィールドワークを重んじる。専門は怪物学で、若いころから島内を巡り、怪物の伝承や生態を研究してきた。中でも砂漠の生物の研究をライフワークと位置づけ、ステロスに腰をすえると砂蛇やジャイアント・リザードに関するレポートを発表。その博識ぶりを買われて、この町の「賢者の門」の支部長となった。しかし、この人事は彼にとっては有難迷惑だったようで、職務に追われて研究が遅れる事をいつも愚痴っている。


主なスキル

言語/共通語 9LV
言語/ルーン 7LV

接近戦 7LV(特化:刀剣、回避)
聖導 11LV

知識/一般 10LV
知識/モンスター 12LV
知識/動物 9LV
知識/植物 9LV
知識/伝承 11LV
知識/野外活動 8LV
知識/薬物 8LV
鑑定 10LV
乗馬 6LV(特化:馬、ラクダ)
馬車操縦 7LV
痕跡追跡 8LV
聞き耳 8LV
第六感 7LV
信仰 11LV


ランス・ルギーニ

人間・男 31歳
身長184cm 体重80kg 右利き

総合LV:4

IQ:4 DX:6 ST:5 WP:6 VT:5
HP:15/27/37

 ザンテの守護者。「黒獅子」の異名をとる有能な戦士。浅黒いがっしりとした体格の男、短く刈り込まれた髪を立てている。寡黙で、献身的。  二代ほど前に、砂漠に布教活動に来た神官の一族。砂漠で生まれ育ったので、この土地に精通している。砂漠を調査に来たザンテをガイドするうちに友情が深まり、そのまま彼の「守護者」になった。

主なスキル

言語/共通語 9LV

接近戦 10LV(特化:刀剣、棒状武器、回避、斧)
武器投げ 10LV(特化:棒状武器、斧)

知識/モンスター 5LV
知識/動物 5LV
知識/伝承 6LV
知識/野外活動 6LV
乗馬 8LV(特化:ラクダ)
痕跡追跡 6LV
忍び歩き 8LV
遠見 6LV
第六感 5LV
信仰 8LV
味覚 5LV
調理 5LV


盗賊ギルド「路地の兄弟」

 ステロスの盗賊ギルド。他の町に比べ小規模で、構成員を「兄弟」と呼ぶところから、この名がついた。細かい路地を利用する逃がし屋業務を得意とする。賭場の元締等の盗賊ギルドらしい仕事にも多く携わるが、あまりえげつない活動はしていない。

キャスター・レイン

人間・男 22歳
身長176cm 体重68kg 右利き

総合LV:4

IQ:4 DX:7 ST:5 WP:6 VT:4
HP:14/26/34

 「路地の兄弟」のギルドマスター。長身でしなやかな筋肉質の男。くせ毛でそれを引っ掻きまわすクセがある。酒は飲まないが、ヘビースモーカーで煙草を常にくわえている。義侠心が強く兄貴肌。一般人に迷惑をかける事を極端に嫌い、それについては厳しい掟を作り、メンバーに厳守させている。
 ステゴロの達人で、賭け試合のチャンピオン。その戦い方は華麗で、芸術的とまで謳われる。賭け試合のライバルであるバリード(若き日の彼は、お忍びで覆面をつけて賭け試合に出ていた)とは親友。表裏のないバリードの気質を気に入っているらしい。


主なスキル

言語/共通語 7LV
接近戦 11LV(特化:素手、剣、回避)
武器投げ 11LV(特化:細剣)

知識/一般 5LV
知識/罠 5LV
裏社会/一般 7LV
開錠 6LV
乗馬 8LV(特化:馬)
アクロバット 9LV
痕跡追跡 6LV
暗視順応 5LV
聞き耳 6LV
第六感 6LV
忍び歩き 9LV
潜伏 8LV
捜索 6LV
ロープワーク 9LV
縄抜け 9LV
罠操作 9LV
ジャグリング 8LV


ストレージ商会

 バジリスク砂漠を旅行中に七色のカラフルな天幕を見つけたら、それこそが自称「ストレージ卿」なる怪しげだが品揃え豊富な商人の行商テントである。
 彼の天幕は驚くほど広く(幻術という噂もある)、取り扱っている商品の中には魔法の品も少なくない。ただし、必ず何かしらの欠陥があると言われている。

 店主のストレージ卿は、この暑いのに完璧な貴族の正装に身を包み、べったりと髪をオールバックに固めている。度の入っていない大きな眼鏡をかけ、糊刷毛のような髭をはやしたこの初老の紳士の隣には、常に助手として小さな女の子の人形が寄り添っている。彼女(?)と掛け合いをしながら、客にお茶を勧めては品物に対する蘊蓄を長々と語るのが彼のスタイルらしい。
 「ジャイアントリザードの二頭曳き馬車で移動するのを見た」だの「空飛ぶ絨毯で飛んでいるのを見た」だのと眉唾物の目撃証言が飛び交うが、やはりその正体についても謎ばかりである。強力な魔術師とも、ペテンに長けた詐欺師とも、はたまた北の辺境から渡ってきた流浪者とも噂され、「砂漠最大の謎は、ストレージ卿だ」という冗句にまでなっているほどである。

藍色の森

1.概要

 「内海」南岸部に位置する森林地帯。ブラックキール島内では唯一のエルフ里(エルフたちが古くから住んでいた土地)である。この森の植物は全体的に青みがかっており、また蘭に似たブルーの花が多くみられる。こうした森全体の独特の印象が、「藍色の森」の由来とされる。
 十数年前、この森を舞台にエルフとダークエルフとの土地を巡る争いがあった。このときの争いは「ブロークン・インディゴ(裂藍の争い)」として広く知られるが、その激しい戦火は森の一部を帯状に焼失させてしまった。その焼け跡は森を北半分と南半分とに分断しており、北側を「北の森」、南側を「南の森」と呼んでいる。

2.南の森

オーキッド支族

 この森には、古くからエルフ支族「オーキッド」が住んでおり、一族で「マナの宝樹」を守ってきた。しかし、「ブロークン・インディゴ」で族長をはじめとする多くの民を失い、今では少数のエルフたちが南の森へと追いやられている。彼らは、ダークエルフとの抗争の際に行方不明となった族長の娘を探しており、彼女を擁立して支族を立て直したいと考えている。また、オーキッドのエルフたちは森の南部に生息する妖精族と共存関係にあり、最も近い友人として信頼しあっている。
 ここのエルフたちは非常に保守的で、森を捨てたエルフたちに対しては強い嫌悪を抱いている。「誇り高きエルフ族は森と共に生きる」という言葉が、オーキッド支族の信念である。

マナの宝樹

 マナの宝樹とは、神話の時代、光の神リトが初めの子であるエルフに与えた「マナを宿した樹」であると言い伝えられている。ブラックキール島では藍色の森にある成木が唯一の宝樹だが、大陸のエルフの源流部族「リリー」には何本もの宝樹があると言われている。
 白樺に似た白い幹と白斑の葉を持ち、樹木全体が柔らかい光を放っている。日中でも肉眼で確認できるこの輝きは、内包する強力なマナに由来するという。
 非常に稀ではあるが、宝樹の枝葉から神聖な武器が造り出されることがある。そのほとんどはエルフの好む弓に加工されるが、剣や杖などの形状をしたものも存在するらしい。加工された武器はいずれも強力なマナを内包する貴重なマジックアイテムであり、通常、一族以外の者が手にすることはありえないだろう。

蛍火の泉

 南の森には、エルフたちと共存関係にある妖精(フェアリー)たちが暮らす泉がある。月明かりの夜などは、妖精たちが泉の周りを様々な光を放ちつつ飛び回っており、その光景から「蛍火の泉」という名で呼ばれている。妖精たちの月夜の乱舞に遭遇した者には幸運が訪れると言われるが、彼らは非常に臆病で人前に姿を現すのは稀である。
 この泉に住まう妖精たちは、受けた恩に対する返礼を惜しまない。最上級の恩義を感じた場合には、助けた者が何者であろうとも離れずに共に暮らし、一生をかけて相手に尽くすという。これを「フェアリー・パル」というが、ほとんど前例らしい前例がないため、単なる伝説に過ぎないとする説もある。

藍色の森を捨てたエルフたち

 「ブロークン・インディゴ」によってオーキッドが弱体化したことをきっかけに、一族の懐古・保守的な考え方を嫌ったエルフの若者たちの一部は、新たな森を求めて旅立った。彼らは、マナの宝樹の接ぎ木と、オーキッドが大陸に住むエルフの源流「リリー」と分かれる際に支族である証として受け取った宝物「マナの白杖」を携えて、シックスブロス群島の森を目指したという。
 ブラックキール島のエルフすべてが、藍色の森ないしシックスブロス郡島の森に住んでいるわけではない。ブラックキール島内には、人間が作り上げたコミュニティにそれなりに適合して暮らしているエルフたちもいれば、あるいは小さな林や森にひっそりと暮らすようになった者もいる。彼らのうちのほとんどは「ブロークン・インディゴ」を機に森を出た若者たちであるが、それ以前に森を出たエルフも決して少なくない。

3.北の森

 北の森は、南の森とは様相がすっかり異なる。「ブロークン・インディゴ」でダークエルフが侵略したその地は、コボルト、ゴブリン、オークなどの妖魔を中心としたモンスターたちが闊歩しており、いまや非常に危険極まりない場所として恐れられている。
 今ではエルフとダークエルフの争いそのものは沈静化しており、ときおり小競り合いがある程度で、いわゆる膠着状態と言って良い。しかし、妖魔やモンスターは気の向くままに傍若無人の振る舞いを見せており、近隣の人間の集落にも被害が絶えない。
 ダークエルフたちは、北の森の最も奥地に「ヘレボラス」と名づけた集落拠点を構え、邪悪な活動の機会を窺っているという。


このページのTOPへ
フォーカードHOMEページ